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「グルーミングだ」「大人が子どもと性行為」15歳少女との交際でデンマーク国会議員が衝撃を与える

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
写真:デンマーク国会提供、Christoffer Regild撮影

デンマーク国会に衝撃が走った。28歳のマイク・ヴィラ・フォンセカ国会議員の交際相手が15歳の少女と判明したためだ。

批判を浴びた本人は病気休業に入ったまま、穏健党を離党し無所属となった。デンマークでは同意年齢が15歳なので犯罪にはならないが、所属する穏健党では18歳未満との交際は禁じられている。

穏健党の政治スポークスマンのモニカ・ルービン氏は、Facebook投稿で議員を非難。「一線を越えた行為」「民主主義を愚弄する行為」「専門用語では『グルーミング』と言います」と怒りを露わにした。嘔吐の絵文字を添えて、フォンセカ議員が現在交際している女性を「手なずけている」とも批判した。

まだ報道されている限りでしか二人の関係性はわからないために、議員によってはこの言葉を使うのを避けているが、デンマークではこの件を報道する際に「グルーミングとはなにか」という説明も添えられている。

穏健党の青年部のリーダーであるエレン・エミリー・ミンデガード=ミュラーツ氏は「どう考えても、許されることではない」と現地メディアに失望を隠すことはなかった。フォンセカ議員は30歳未満のために、まだ青年部の党員でもある。

交際相手の少女の保護者はデンマークTV2の取材に対し、「娘は年相応の大人で成熟している」と、交際中であることは議員から告げられており、恋人同士である二人を「信頼している」と答えた。

デンマーク国会提供 本人のプロフィール写真
デンマーク国会提供 本人のプロフィール写真

デンマークの元首相でもあり、「穏健党」を立ち上げた党首のラース・ロッケ・ラスムセン外務大臣は憤りを隠すことはなかった。

「彼は党にはいられないと通達しました。8年生の子どもと性的関係を持つような人はもちろん穏健党にいることはできません。もし彼が穏健派に敬意を払っているのであれば、私は彼にデンマーク議会を辞職するよう求めます」

都合が悪いスキャンダルが判明した時に、国中からの批判に耐えられずに「病気休業」に政治家が入るのはデンマークだけではなく北欧全体の共通点だ。医師からの通達のために、病気休業中の者に対する報道はメディアではある程度抑える必要性も出てくる。

議員の病気休業中、彼の変わりは代理議員が務めることになる。無所属となった議員は他党に移籍することも可能だが、国会に議席を持つ政党は次々とフォンセカ議員を迎え入れることはないと、「国会にあなたの居場所はない」というメッセージを送っている。

代理議員は穏健党から出るが、フォンセカ議員が復職し、議員を続けることを望み、与党他党に移籍しない場合もしくは無所属として政府路線を支持しない限り、政府は大多数を失うことになる。その場合は他党との合意交渉なし政策を通すことが難しくなり、より脆弱な立場になることを意味する。

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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