阪神入りのアルカンタラ 制球力を日本人コーチが絶賛。古巣の担当者が語る成功のカギは「対話」
阪神は23日、新外国人選手としてラウル・アルカンタラ投手(28)との契約合意を発表した。アルカンタラは韓国KBOリーグ2年目の今季、KTウィズからトゥサンベアーズに移籍。前年の11勝を上回る20勝を挙げて最多勝を獲得した。
黒星はわずか2つで防御率はリーグ4位の2.54と抜群の安定感を誇り、チームの6年連続韓国シリーズ進出に貢献している。
⇒ 2020年韓国プロ野球個人成績(ストライク・ゾーン)
アルカンタラの日本での活躍の可能性について、今季までLGツインズのバッテリーコーチを務めた芹澤裕二コーチ(元中日、楽天、ヤクルトコーチ。来季からSKワイバーンズコーチ)に訊いた。
(追記)芹澤コーチには25日に阪神入りが発表になったメル・ロハス・ジュニア(前KT)についても訊いている。
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飛躍の背景に「捕手との対話」
芹澤コーチは今季のアルカンタラについて「一番はコントロールが良かったですね。200イニング近く(198回2/3)投げて、フォアボールが30個と少なかったです」と話した。
平均153キロの直球を軸に、スライダー、フォーク、チェンジアップ、ツーシーム、カーブの変化球を駆使したアルカンタラ。「ツーシームを低めにしっかり投げていた」と芹澤コーチは振り返る。
その日の自身の状態によって決め球となる球種を変えていたアルカンタラ。芹澤コーチは「自分で今日はどの球が良いのか、察するのが早いピッチャーなので球種を絞り切れないタイプ」と感じていた。
その点についてアルカンタラが昨年在籍したKTで彼の獲得に関わったイ・チュンム運営次長はこう話す。
「トゥサンに移籍してから彼に『昨季と比べて何が変わったのか?』と尋ねたところ、捕手のパク・セヒョクとの相性が良かったと言っていました。試合前にパク・セヒョクと配球の意図や自分が投げたい球についてじっくり話し合って、試合中でも捕手との会話を通して修正していったそうです」
アルカンタラが阪神でも好投を見せるのは、捕手との綿密なコミュニケーションが欠かせないだろう。
日本でも活躍できる?
その他に日本での対応すべき点について芹澤コーチは、「フォークはそんなに落ちる方ではないので、日本のバッターが振ってくれるかどうかが気掛かりです」と話す。
一方で外国人投手の不安要素としてよく挙げられるクイックモーションについて芹澤は「アルカンタラはできます」と、長所として挙げた。
芹澤コーチは「アルカンタラはシーズン終盤こそ疲れていましたが、あれだけのイニング数を投げてくれる投手はなかなかいません。外国人選手が成功するかどうかというのは、やってみないとわからないですが、普通にプレーできれば結果は残せると思います」と話した。