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サル痘 "先に感染者が出た"韓国 当局が呼びかけたあること

(提供:イメージマート)

24日にWHO(世界保健機関)による緊急事態宣言が出され、その後日本でも感染者が確認されたサル痘。

韓国では日本より先に感染者が発生した。6月22日に東アジアで2例目の感染者が確認され、今月8日に退院している。

同国での感染者発生状況がどうだったのか。7月4日に掲載した記事を再構成・情報追加しつつお伝えする。

入院17日目に退院「感染力はなくなった」

感染者は6月21日にドイツから帰国した30代男性だった。同日の退院に際し、韓国政府疾病管理庁は以下の発表を行った。

「患者は対処治療(症状に対応する治療)を行い、すべての皮膚病変部位が回復し、感染力がなくなったと医療陣は判断した」

「臨床症状と皮膚病変状態などを総合的に考慮し、隔離解除を決定した」

韓国政府疾病管理庁はサル痘のウィルスの潜伏期間を「21日間前後」としている。

その後韓国内で感染者は発生せず。24日のWHOによる緊急事態宣言後も、国内の警戒態勢は6月8日からの「注意」に留め(下から2番めの態勢)、政府の疾病管理庁による「中央コントロール体制」での感染対応を行っている。

10日を過ぎた時点で「回復傾向」 

韓国は日本と同じ漢字文化圏だが、病名の表記が少し違う。漢字で「痘瘡」という言葉を用い、「サル痘瘡(ウォンスンイ・ドゥチョン)」と呼ばれる。

国内初の感染者の発覚の経緯はどうだったのか。

前述の通り6月21日にドイツから帰国した30代の男性。帰国直後に以下の症状が出たため、自ら仁川国際空港で申告した。

頭痛

微熱(37度)

喉の痛み

虚脱感

疲労感

皮膚の病変

空港の感染センターと中央疫学調査官により「サル痘の感染者」と分類された。仁川医療院(国家指定の入院治療病棟)に移送され、治療を受けた。

7月8日の退院前、7月3日に一度病状が発表された。主たる内容は「帰国から12日が過ぎ、本人は回復傾向にある」。体温は36.5度を維持。体に現れた斑点も当初は現れては消える状況だったが、この時点で回復しつつあったという。

また今回は、男性と同便で帰国した49人が「濃厚接触者」に分類された。韓国政府の言う「中位危険群」が8人、「低位危険群」が41人だった。

濃厚接触者のなかから発症者、隔離者は発生せず。

また、この49人のうち機内で男性の隣に座った2人は韓国で蓄積していた新種ワクチンの接種対象者だった。本人が望めば接種をしたが、いずれも希望しなかったという。

同日釜山から帰国した男性も「体調不良申請」を行ったがこちらは陰性だった。

メディアは「体調不良未申告を告発できるのか?」との問いかけも

「病院の外」でもその後、様々な対応があった。韓国メディアの報道を見る限り、下記の自治体が防疫体制を強化している。

ソウル特別市銅雀区

京畿道安城市

釜山広域市

慶尚南道金海市

同 昌寧郡

全羅北道益山市

また「マイナンバーカード(韓国では「住民登録証」)のデジタル化」が進む、韓国ならではのシステムも作動している。最近、サル痘感染者発生が頻繁に起きている国への渡航歴がある人には記録が残り、病院に申告せずともそれが分かるシステムになっているのだ。

いっぽう、国内では「サル痘検査キッド生産に入った韓国企業」の様子を「聯合ニュース」が報じるなど、対応や警戒が高まった。

また「韓国日報」は6月21日の感染者発生時の状況について「症状があるのに、帰国時に申告しなかった人を告発できるのか」という視点でこれを報じた。

前述の通り、韓国防疫当局は8日の時点でサル痘に対する警戒体制を「注意」とした。要旨のひとつが「海外からの帰国時の体調不良の正しい申告、感染時の隔離を義務化する」。

ただし、韓国の当局がドイツを含む「感染警戒地域」を定めたのも最初の感染者の帰国日と同じ21日だった。義務に反すると韓国の防疫法違反として懲役1年以下の実刑、もしくは1000万ウォン以下の罰金に問えるのか、という点だ。同紙は「当局が悩む様子」までを伝え、記事の内容も「告発が可能なのか?」という問題提起に留めた。

韓国防疫当局が呼びかけたあること

いっぽう、国内初の感染者発生後、韓国政府の疾病管理庁が感染予防対策とともに国民に訴えたのは下記の点だった。

「感染者に対し偏見を持たないようにしよう。すると隠れてしまい、逆に感染が広がる」

これは「新型コロナウィルスの教訓」だとしている。

2020年2月、大邱広域市の教会で国内最初の集団感染が起きた。

その際に宗教団体側は政府のガイドラインを守らず、密室に1000人近くが集まる集会を開催。感染が広まった。なかでも当時、すでに感染していたにもかかわらず集会に出向いた女性には「スーパーシュプレッダー」「n番感染者」などといったレッテルが貼られた。その後、批判を恐れPCR検査を拒否する信者も続出。社会的な大問題となった。

韓国政府疾病管理庁は今週、国内専門家による「危機評価会」を開催し今後の対応を決定していくと発表している。

(了)

本稿の感染関連情報はあくまでも韓国でのものです。日本での対応は下記サイトなどをご参照を。

参考:日本政府厚生労働省「サル痘について」

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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