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韓国・尹錫悦大統領に逮捕状発付… なぜ? 今後は?「1週間内に動き」「現場で衝突の心配」見通しも #専門家のまとめ

(提供:The Presidential Office/ロイター/アフロ)

12月31日に午前に韓国から発信された「尹錫悦大統領への逮捕状発付」の報。同国歴代大統領対して初の発付となる。
尹大統領に対し、12月3日の戒厳令宣布によりかけられていた「内乱罪」の容疑。これについて高位公職者犯罪搜査処(以下「公捜処」)が韓国裁判所に請求していた逮捕状が認められたもの。公捜処(コンスチョ)とは、大統領、国会議長、大法院長(韓国最高裁長官)の犯罪捜査を専門とする韓国の国家機関。今回の件に関しては韓国警察と合同で捜査本部を結成している。
事態はどういった流れで、今後どうなるのか。

ココがポイント

公捜処は内乱容疑などを捜査するため3度にわたり出頭を要請したが、尹大統領はこれに応じなかった。
出典:聯合ニュース 2024/12/30(月)

公捜処は近くソウル・竜山の大統領公邸に向かい、逮捕状の執行に乗り出すとみられる。
出典:聯合ニュース 2024/12/31(火)

(大統領)警護処が令状執行を阻止する場合、双方(公捜処と警護処)が物理的に衝突する恐れがあると懸念する声もあがっている。
出典:東亜日報 2024/12/31(火)

ただし公捜処は「今後の日程については現在決まっていない」と述べた。
出典:ハンギョレ新聞 2024/12/31(火)

エキスパートの補足・見解

なぜ逮捕状の発付となったのか。「尹大統領が内乱罪の捜査に対する出頭を3度拒否したから」。12月18日、25日、29日に「政府果川庁舎の公捜処に出頭し取調べを受けよ」とする公捜処の出頭要求を全て拒否した。

大統領側は「捜査よりも弾劾判決が先」との立場を表明している。12月14日に韓国国会で可決した大統領弾劾案について、180日以内に憲法裁判所で「最終審判」が下される。ただ現実的に180日(=約6か月)もこれに時間をかけるとは考えにくく、2016年から2017年の朴槿恵大統領弾劾時には約3か月で結論が出た。

いずれにせよ今回の発付で尹大統領側には「捜査を受けなければならない」というプレッシャーがよりかかることになった。

本件関連は「1週間以内に具体的な動きがある」と韓国メディでは報じられている。懸念されているのが公捜処が逮捕状を手に大統領公邸を訪れた際、大統領警護処(警護室)との物理的な衝突が起きることだ。いっぽうで公捜処は「まだ日程は何も決まっていない」とも。年が明け、最初の日曜日(5日)を過ぎて翌週火曜日(7日)くらいまでに何らかの動きがあるだろうか。


吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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