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415フィートの特大ヒットを打ったスラッガーが、次の打席では代打を送られる。その理由は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
M.オズーナ(左)とR.アクーニャJr. May 2, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月4日、「7番・DH」として出場したマーセル・オズーナ(アトランタ・ブレーブス)は、1打席目に四球を選び、2打席目はシングル・ヒットを打った。

 3打席目が回ってきた時に、代打を送られた。

 オズーナは、パワーのある打者だ。2017年は37本塁打を記録し、短縮シーズンの2020年は18本塁打と56打点の二冠王となった。今シーズンも、11本のホームランを打っている。

 怪我や体調不良に見舞われたわけではなく、退場にもなっていない。スコアは3対5。ブレーブスが2点リードされていた。マウンドには、最初の2打席と同じく、先発投手のザック・ギャレン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)がいた。

 交代の理由は、2打席目にある。オズーナの打球は、センターへ飛んでいった。スタットキャストによると、初速が107.2マイル、角度は34度、推定飛距離は415フィートだ。

 オズーナは、オジー・オールビースに続く、2連続ホームランだと思ったに違いない。打席から走り出すことなく、打球を見ていた。

 だが、ダイヤモンドバックスの本拠地、チェイス・フィールドのセンターのフェンスは、25フィートの高さがある(中央のバッターズ・アイは27フィート6インチ)。その左右は、7フィート6インチだ。打球はフェンスに当たって跳ね返り、オズーナは一塁までしか行けなかった。

 415フィートのシングル・ヒットだ。ちなみに、オールビースがライトへ打ったホームランの推定飛距離は、400フィートとされている。

 オズーナは、暴投と内野ゴロで三塁まで進んだものの、ホームインはできなかった。

 チームメイトのロナルド・アクーニャJr.も、4年前にオズーナと同じようなことをしている。その時も、ブライアン・スニッカー監督は、アクーニャJr.を途中で交代させた。

 もっとも、当時のアクーニャJr.は、メジャーリーグ2年目の21歳だった。現在のオズーナは、メジャーリーグ11年目の32歳だ。

 なお、ブレーブスは、9回表を迎えた時点では4対5とリードされていたが、エディ・ロザリオが2死満塁からホームラン――推定飛距離は381フィート――を打ち、その裏は、ライセル・イグレシアスが締めくくった。

 4年前のアクーニャJr.のプレーについては、こちらで書いた。

「数日前の怠慢プレーも、若さの現れ!? 史上2番目の若さで「30-30」達成」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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