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10周年へ!『KAT-TUN LIVE 2015 “quarter” in TOKYO DOME』

杉谷伸子映画ライター

KAT-TUNが東京ドームで5月9日、10日の2日間だけ開催したプレミアムなライブ『KAT-TUN LIVE 2015“quarter”in TOKYO DOME』。公演前に囲み取材も行われた5月10日の公演を取材。

4人が魅せる4つの世界観

ここが彼らのホーム。改めてそう感じさせた『KAT-TUN LIVE 2015“quarter”in TOKYO DOME』。3年ぶり、4人となって初めて迎える東京ドームでのライブは、ライブロゴのアイコンデザインからもうかがえるように、今年がCDデビュー9周年ということもあり、ツアータイトル“quarter”の“q”に“9”もかけてある。

正面ステージには亀梨和也(ピンク)、田口淳之介(オレンジ)、上田竜也(青)、中丸雄一(紫)のメンバーカラーを取り入れたライブのアイコンをイメージした「“quarter”VISION」を設置。扇型をした4つのステージがアリーナ中央にあるハイフン(KAT-TUNファン)を意味する長方形のステージのもとに集結し、円形ステージを形作る「“quarter”MOVING」も導入。装置からして“ハイフン”と“4人でひとつ”な世界観を表現するというこだわりぶり。

内容ももちろん“4”を強く打ち出したもの。アルバムリリースがないなかでのライブは、彼らの選曲センスの良さと構成力の高さを再認識させる。CDデビュー前の名曲『GOLD』をはじめとした楽曲に和のアレンジを加え、衣装や演出も和テイストで魅せる〈Japanesque〉。ジャニーズっぽくないと言われるKAT-TUNの魅力であるテイストのひとつ、〈Rock〉。電飾アイテムも取り入れ、4曲のマッシュアップが圧巻の〈Digital〉。そして、最新シングル『KISS KISS KISS』のカップリングであるシャッフル企画曲のみならず、昨年末のカウントダインライブで人気だった「メンバーのソロ曲をほかのメンバーが歌う」というお楽しみ企画も盛り込んだ〈Shuffle〉。4つのコーナーでKAT-TUNのさまざまな世界観を見せながら、メンバーそれぞれの持ち味も堪能させるのだ。亀梨の妖艶さ。演劇的に世界観を構築する上田のロックな存在感。スケールもキレも増したダイナミックなダンスで眼を釘付けにする田口。字幕で心の声を映し出し、ヒューマンビートボックスで客席とのかけあいを繰り広げるという新趣向を凝らして楽しませてくれる中丸。4人それぞれの個性も印象づけつつ、あくまで4人で創りだす世界を堪能させてくれるのがお見事。

KAT-TUNにしか創れない世界

そして、その4つの強い個性が集まることでKAT-TUNという強烈なひとつの個性が生まれることを見せ付けるクライマックスの『RAY』の圧倒的な迫力。「一糸乱れぬ」というダンスの美しさもあるが、KAT-TUNは違う。それぞれの個性が色濃く出たダンスが、4人一緒に踊ることでさらにそれぞれの魅力を増幅し、この4人だからこそのひとつの世界観が生まれる。『RAY』はそれを象徴するナンバーだった。

その“不揃い”が生みだす一体感は、アリーナ中央のハイフンを意識したステージのもとに「“quarter”MOVING」が集まって作られる円形のステージで360度方向から観客が見つめるなか踊ることでひときわ映える。亀梨なめの田口、田口なめの上田、上田なめの中丸、中丸なめの亀梨etc…。4人全員はもちろん、どのアングルからどの組み合わせを観ても、炎が噴き上がるなかで踊る4人のカリスマティックなこと! KAT-TUNだからこその世界に、ドーパミンが放出されっぱなし。

3年ぶりの東京ドームにも、気迫はあっても気負いはなかった。それはハイフンも同じ。東京ドームは、デビューに際しスペシャルコンサートを開催し、09年には10days公演も開催した場所。東京ドームこそがKAT-TUNのホームだという絶対の自信があるからだ。既に2度の単独カウントダウンライブを経験し、昨年はホール・アリーナ・ドームと3種類の見せ方でのツアーを行ってきた4人。「10周年を見据えて」と昨年のツアーに際しても彼らが話していた言葉が、今回のライブでハイフンにも頷けるようになってきた。

まだ見たことのない景色を

本編ラスト。「ほんとにみんなにすげえ支えられて。今までいろんなことすげえあってやってきたけれど、ほんとにKAT-TUNというものが自分のなかではすごく大切なものです」という田口の言葉を、中丸の挨拶の最中から込みあげるものを押さえきれない表情でいた彼の頬を伝うものが、さらに胸に響かせる。いつも飾らない言葉でまっすぐに思いを届けてくれる上田が柔らかな表情で語る「僕らが普段仕事などで頑張れるのって、こうしてライブをやったときにみなさんの笑った顔が素敵で、僕らにもすごくエネルギーをもらえるから。これからももっともっと多くの笑顔を見られるようにKAT-TUNのみんなで頑張っていくので、みなさん、これからも俺たちについてきてください」という言葉がハイフンをさらに笑顔にする。

そして、「これからもみなさんにまだまだ見たことない景色をしっかりと届けられるように。一緒に見られるようにやっていきたいと思いますので、引き続き、一緒に歩んでください」と話していた亀梨。「いろいろあったグループではありますけど、10周年はひとつのポイントだと思うんですよ」というダブルアンコールでの中丸の言葉とともに、その日に向かって、そしてその日に、彼らがどんな景色を見せてくれるのか、ますます楽しみになった時間だった。

【KAT-TUN LIVE 2015“quarter”in TOKYO DOME】セットリスト

Overture

1  KISS KISS KISS

2  RACE GOES ON

3  LIPS

4  ONE DROP

5  BIRTH

〜挨拶〜

6  Connect & Go

7  In Fact

8  “quarter”Overture

quarterコーナー(1)〈Japanesque〉

9a  GOLD

b  楔-kusabi-

c  Lovin’ U

quarterコーナー(2)〈Rock〉

10a  RESCUE

b  PHOENIX

c  STAR RIDER

d  GIVE ME,GIME ME,GIME ME

e  FIRE and ICE

11  & FOREVER

12  春夏秋冬

13  NOTHING ELSE MATTERS

〜MC〜

quarterコーナー(3)〈Digital〉

14a  Love yourself〜君が嫌いな君が好き〜

b  COME HERE/GIMME LUV/LOVE/THE D-MOTION

c  PHANTOM

15  RADIO

quarterコーナー(4)〈Shuffle〉

16  帰ってきた忘年会コーナー

00’00’16(亀梨ソロ曲)上田

STEP BY STEP(中丸ソロ曲)田口

誓心(田口ソロ曲)中丸

ヤンキー片思い中(上田ソロ曲)亀梨

17  Real Face

18  ありがとう(亀梨/上田)

19  キラリト(田口/中丸)

20  Dead or Alive

21  RAY

22  それぞれの空

ENCORE

1  4U

2  Peacefuldays

3  熱くなれ

W-ENCORE

1  SUNRISE

(『ヤンキー片思い中』のタイトル末尾の記号が表示できないため、省略した表記になっております)

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『SCREEN』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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