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A級残留を目指しての戦い 12月3日、豊島将之九段-稲葉陽八段

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月3日。大阪府高槻市に移転した関西将棋会館において、第83期順位戦A級6回戦▲稲葉陽八段(1勝4敗)-△豊島将之九段(1勝4敗)戦がおこなわれます。

 1年をかけておこなわれる長丁場の順位戦。A級は全9回戦で、折り返し地点の5回戦まで終わりました。

 前期A級を制して、藤井聡太名人に挑戦した豊島九段。今期はここまで1勝4敗と苦しい星取りとなっています。4回戦の菅井八段戦でも苦戦に陥りましたが、終盤で逆転し、大きな1勝をあげています。


 稲葉八段は開幕から4連敗。しかし前節では4連勝の佐藤天彦九段を止めて、自身は今期初白星をあげています。


 5回戦が終わった時点での星取りは以下の通りです。

【4勝1敗】永瀬拓矢九段、佐藤天彦九段、佐々木勇気八段

【3勝2敗】渡辺明九段、増田康宏八段

【2勝3敗】中村太地八段、千田翔太八段

【1勝4敗】豊島将之九段、菅井竜也八段、稲葉陽八段

 全勝も全敗もおらず、きれいな対称形となっています。

 名人挑戦権争いは4勝1敗の永瀬九段、佐藤九段、佐々木八段の3人が並び、次いで3勝2敗の渡辺九段、増田八段の2人が追う展開です。

 1勝4敗の豊島九段、稲葉八段は、まずは残留を目指しての戦いとなります。

 奨励会の頃からライバルの関係にあった両者。四段になって以降の対戦成績は豊島14勝、稲葉10勝と拮抗しています。直近では豊島九段が3連勝中。前期A級では1回戦で当たり、豊島九段が勝っています。

 今年度成績は、豊島九段は8勝20敗(勝率0.286)。稲葉八段は9勝10敗(勝率0.474)です。互いに厳しい状況での対戦。サバイバルマッチを制して、残留争いで一歩先んじるのは、はたしてどちらでしょうか。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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