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増田康宏八段(27)棋王戦挑戦者決定二番勝負進出! 勝者組決勝、相矢倉で近藤誠也七段(28)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月2日。第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメント勝者組決勝▲増田康宏八段(27歳)-△近藤誠也七段(28歳)戦がおこなわれました。


 10時に始まった対局は19時53分に終局。結果は123手で増田八段の勝ちとなりました。

 増田八段は挑戦者決定戦二番勝負に進出。敗者復活戦で勝ち上がった棋士と対戦し、2番のうち1勝をあげると藤井聡太棋王(22歳)への挑戦権を獲得します。


 増田八段は敗者復活戦に回りました。対局日程は以下の通りです。

12月6日 澤田真吾七段-斎藤明日斗五段

12月9日 近藤誠也七段-上記対戦勝者


増田八段、相矢倉の戦いを制する


 振り駒の結果、先手番を得たのは増田八段。戦型は矢倉を選びました。


「矢倉は終わった」というフレーズで有名な増田八段。実はしばしば矢倉を指しています。▲増田-△伊藤匠叡王戦でも増田八段は矢倉を志向していました。

 近年の矢倉戦は後手が急戦を匂わせる布陣をしくことが多く、互いに矢倉に組み合う進行はあまり見られなくなりました。しかし本局では互いに「金矢倉」に組み合う、相矢倉の戦いとなりました。

 増田八段は矢倉城の「からめ手」である右端1筋から攻めていったのに対して、近藤七段は手にした香を飛車のいる8筋に重ねてうち、正面の大手門から反撃に出ました。

 勝敗不明の終盤戦。増田玉は追われながらも左端9筋に逃げ越し、きわどいながらも簡単にはつかまらない形に。相手陣に打ち込んだ飛車が攻防にもよくはたらき、最後は増田八段が一手の余裕を得て、押し切りました。

 両者の通算対戦成績は増田5勝、近藤2勝となりました。


 もし近藤七段が敗者復活戦を勝ち上がってくれば、挑戦者決定二番勝負で再戦となります。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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