Yahoo!ニュース

棋王戦挑戦者決定二番勝負に進むのは増田康宏八段か? 近藤誠也七段か? 12月2日、勝者組決勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月2日。第50期棋王戦コナミグループ杯・挑戦者決定トーナメント、勝者組決勝、増田康宏八段(27歳)-近藤誠也七段(28歳)戦がおこなわれます。

 本局に勝てば挑戦者決定二番勝負に進出。そこで敗者復活戦の勝ち上がり者と対戦し、2番のうち1番勝てば藤井聡太棋王(22歳)への挑戦権を獲得できます。

 敗れた方は敗者復活戦に回り、澤田真吾七段(33歳)-斎藤明日斗五段(26歳)戦の勝者と対戦します。


好調の実力者2人がぶつかる

 増田八段は今期棋王戦では、挑戦者決定トーナメントの1回戦から出場。ここまで木村一基九段、黒田尭之五段、伊藤匠叡王、渡辺明九段、澤田七段に勝っています。

 近藤七段は今期棋王戦は2回戦から登場。佐藤天彦九段、狩山幹生四段、三浦弘行九段、斎藤五段に勝っています。


 増田八段は1997年、近藤七段は1996年生まれで、近藤七段が1歳年長です。


 四段に昇段して棋士となったのは、増田八段は2014年10月で16歳のとき。近藤七段は2015年10月で19歳のときでした。


 両者は過去に6回対戦し、増田4勝、近藤2勝という成績が残されています。


 2018年度C級1組順位戦では、近藤現七段は最後に藤井現棋王、増田現八段を連破して昇級を果たしています。


 2023年度B級1組順位戦では、増田現八段が勝利。A級昇級は先に増田八段が果たしました。

 増田八段の今年度成績は14勝6敗(勝率0.700)。直近ではA級順位戦で千田翔太七段に勝ち、リーグ成績を3勝2敗としています。

 近藤七段の今年度成績は20勝7敗(勝率0.741)。直近ではB級1組順位戦で斎藤慎太郎八段に勝ち、A級昇級争いのトップに立っています。

これまでの挑決二番勝負

 棋王戦の大きな特色は、挑戦者決定トーナメントにおける、敗者復活システムにあります。かつてはベスト8進出者から、1992年度からはベスト4進出者にその権利があります。

 また、かつては挑戦者決定戦は一番勝負でした。しかしそれでは、勝者組の側には不公平ということで、1992年度からは二番勝負に。勝者組の側に1勝分のアドバンテージが与えられるようになりました。つまりベスト4からは、2敗失格のシステムとなっています。

 1992年度から数えて、勝者組は20回、敗者復活組は12回、挑決二番勝負を制しています。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事