NPOも信用保証の対象に。これから金融機関に求められること。
本日の日本経済新聞に、NPOが信用保証制度の対象になり、半年間でどのような動きがあったかについての記事が出ました。
日本経済新聞:NPO、資金借りやすく 信用保証の対象に 立川、若者支援の要員増
また、日刊工業新聞では開始3カ月で166件、総額13億500万円の利用があったと報じています。
日刊工業新聞:NPO法人信用保証額が13億円
日経の記事にもあるように、育て上げネットでは人材採用のため1,000万円の融資を多摩信用金庫さまより受け、信用保証制度を活用しています。また新たに同制度の利用を申込中です。
もともと多摩信用金庫さまとはお付き合いがあり、融資を受けておりますが、東京信用保証協会さまとは初めてのお付き合いになります。新しい制度のため、多摩信用金庫のご担当者、東京信用保証協会立川支店のご担当者とも、申し込みの前段階から意見交換を行いました。
今後、これからNPOと取り引きが発生し得る金融機関のご担当者、保証協会のご担当者に求められるのは「NPOの活動理解」になります。
例えば、介護分野や障がい者福祉の分野は、広く事業内容が知られており、特に資金の流れはある程度共通しています。既に建設や改修、つなぎ融資などで取引実績があるところも少なくなく、金融機関内に共有知が集積していると思います。
しかし、私たちのような若者支援のみならず、NPOの活動は多様であり、新規性の高いものも多く、既存のビジネスとは異なる収支状況や支払いサイクルがあります。これらは金融機関にとって初めてあたる情報であり、財務諸表の読み方という技術的な部分に加え、その活動を社会性と事業性の観点から理解するのに時間を要する可能性があります。
また、直接の担当者は何度かヒアリングするウチに理解が進んでも、事業者でないため行内のステークスホルダーへの説明などに苦慮することが予想されます。特に、これまで融資先の事業としては聞いたことのない活動- 外部から学校に先生を送り込む、企業人材を途上国に派遣する、貧困状態にある子どもたちに食事や学習機会を提供する、森林や河川を蘇らせる、限界集落を活性化させる-をするNPOから融資依頼を受けるかもしれません。逆に融資のご提案をすることもあるでしょう。
遂にNPOが制度活用ができるようになりました。そして数か月で実績が出てきています。ぜひ、金融機関の皆様には、多様なNPOに声をかけ、行内勉強会を継続的に開催することによって、担当エリアの営業担当者がスムーズにNPOとコミュニケーションを取れるよう、組織的な動きを活発化させていただきたいと思います。