【名古屋市千種区】「水の歴史資料館」企画展「断水のないなごやの水道~幾度の試練を乗り越えて~」開催中
千種区月ヶ丘にある名古屋市上下水道局が運営する学習施設「水の歴史資料館」で、2024年9月12日(木)から10月31日(木)まで企画展「断水のないなごやの水道~幾度の試練を乗り越えて~」を開催中です! この企画展は資料館の開館10周年・水道給水開始110周年を記念したもので、資料館で保存している資料等を紐解き、「断水のないなごやの水道」としてくらしを支えてきた歴史をその時代背景を含めて振り返り、現存している100年以上前の貴重な写真や資料等を展示するものだそうです。
「水の歴史資料館」については2024年8月19日のこちらの記事で詳しく説明しています。
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「水の歴史資料館」は覚王山の少し北の月ヶ丘にあります。「覚王山」駅からは徒歩17分ほどですが、ちょっと遠いので、市バスの「月ヶ丘」停留所か「天満通二丁目」停留所からどうぞ。無料駐車場も18台分あるので車で行くのが一番便利かもしれません。入館料は無料です。
「断水のないなごやの水道~幾度の試練を乗り越えて~」展示内容
企画展はエントランスを入ったところにあるホールで開催されています。床に描いてある絵は、ここに立って写真を撮ると水の中に立っているように見えるだまし絵です。
資料館所蔵「水道創設工事の写真(原版)展」~水源を木曽川に~
企画展は明治・大正時代の写真展示とパネル・資料・文書展示、映像のモニター上映から構成されています。入口から入って右側は資料館所蔵「水道創設工事の写真(原版)展」です。
このコーナーでは木曽川からの導水路の築造を始め、水道創設工事を担った水道布設事務所が撮影・保存していた明治、大正時代の写真(原版)22枚、工事概要の資料等を特別展示しています。
写真は当時の生写真ですので、台紙も年月を経て味わい深いものがあります。スタートは明治42年の「上水道起工式光景」(右上)で、これは現在の「東山給水塔」近くの「四観音道」だそうです。名古屋の上水道の取水口は木曽川の犬山付近で、左上の写真(大正2年)には犬山城が写っています。木曽川を水源にしたことにより、断水することなく名古屋に水を供給することができました。
名古屋市の水道創設工事は大正3年(1914年)に主要部分が完成しましたが、25kmの距離を人力でたった4年の工事期間で完成させたそうです。当時の新しい施設を作る意欲は相当なものだったのでしょう。この写真は現在も鍋屋上野浄水場にある旧第一ポンプ所です。非常に優美な建築ですね。当時の最先端のデザインだったのでしょう。
これは旧第一ポンプ所の内部の写真です。写真作品としてもとても優れているものだと思います。モノクロ写真ならではの美が際立っています。名古屋市の一大事業の記録として、当時の一流の写真家が撮影したのでしょう。
断水のないなごやの水道~幾度の試練を乗り越えて~
こちらは入口から向かって左側の展示コーナーです。パネルや資料などがあります。これは現在までの名古屋市上下水道事業の年表です。
壁面にはパネル、ガラスケースには当時の貴重な資料や文書が展示されています。名古屋市の人口が急激に増えるに従って水の需要も急増し、水利権の確保や渇水対策など名古屋市が水道拡張事業に奮闘してきた歴史が解説されています。
これは昭和18年(1943年)の「名古屋市水道工場配水増強工事計画説明書及目論見書」です。戦争も激化していたこの時期、市民の水需要よりも軍需工場の水需要を優先させていたことがうかがわれる資料です。
これは昭和初期からの「名古屋市上水道第三期拡張工事設計図」です。名古屋市の人口が100万人を超えることを想定して計画されました。現在の千種区東部は右側の薄い赤に染まっている部分で、まだ配水「予定」地だったことが分かります。ほとんど山だったのでしょう。
モニターでは名古屋市水道50周年記念「鯱水不尽 名古屋市上水道50年のあゆみ」(昭和39年制作)と名古屋市水道100年の軌跡「信頼のおいしさ なごやの水道100年 そして 未来へ」(平成26年制作) のビデオが上映されています。
企画展ガイドツアー
9月15日(終了)・22日・29日に職員の方が企画展の内容を解説してくださるガイドツアーが開催されるそうです。
時間は11:00~12:00と15:00~16:00 の2回(事前申込不要) です。参加者には「名古屋市水道竣工式記念絵葉書 復刻版」をプレゼントしてくださるそうです!
自分だけで見ているよりも解説を聞いた方が深く理解できると思いますので、是非この機会にどうぞ!
こちらがその復刻版の絵葉書です。取材時に私もいただきました。ありがとうございました! レトロ感いっぱいで素敵なデザインです。(本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています)
こちらは常設展エリアで展示されている実物の絵葉書です。「第1展示室」にあります。
「水の歴史資料館」には「資料閲覧室兼学習室」もありますので、より深く知りたい方はこちらで閲覧できます。
平成6年夏の異常渇水についての展示は、名古屋に当時から住んでいる方は「ああ、そういえばそんなこともあったな」と懐かしく思い出されるのではないでしょうか。この時も名古屋市はなんとか断水は免れたそうです。豊かな木曽川に感謝ですね。
「水の歴史資料館」には数多くの歴史的資料が保存されているそうですので、今後もいろいろな企画展を見ることができるでしょう。
上下水道局の頑張りが感じられる「断水のないなごやの水道~幾度の試練を乗り越えて~」展に、あなたも是非行ってみてください!
「水の歴史資料館」館長様、企画展をご案内・解説していただき本当にありがとうございました。
水の歴史資料館
住所:〒464-0043 名古屋市千種区月ケ丘1丁目1番44号
アクセス:市バス「月ケ丘」停下車徒歩2分、または「天満通二丁目」停下車徒歩5分
電話番号:052-723-3311
入館料:無料
開館時間:9:30~16:30
休館日:月曜日(休日の場合は直後の平日)・12月29日から1月3日まで
駐車場:普通自動車18台(その内、身体障害者用駐車スペース2台)
公式サイト
名古屋市上下水道局公式サイト
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