アップルは52%増、シャオミはついに減少、ウエアラブル市場で明暗くっきり
米国の市場調査会社IDCがまとめたウエアラブル機器市場に関するリポートによると、昨年(2017年)7〜9月期の世界出荷台数は、2630万台となり、1年前から7.3%増加した。
シャオミは首位維持するも、前年割れ
この市場で出荷台数が最も多いのは、依然、腕に装着するタイプの機器だ。
そのうち、IDCは、
(1)フィットネストラッカーなど単機能の比較的安価なリストバンド機器を「ベーシック型」
(2)米アップルの「Apple Watch」や、米グーグルのOS(基本ソフト)「Android Wear」を搭載する多目的腕時計型機器を「スマートウオッチ」と呼び、それぞれ個別に分析している。
同社は先のレポートで、昨年4〜6月期におけるベーシック型の出荷台数が、前年同期比0.9%減と、初めてマイナス成長を記録したと報告していた。
一方で、スマートウオッチは、同60.9%増加していたが、7〜9月期も同様の結果となった。
ウエアラブル市場はその誕生当初から、安価なベーシック型機器によって支えられてきた。しかし、この市場は消費者の好みの変化とともに、その様相も変わりつつある。
7〜9月期のメーカー別出荷台数を見ると、シャオミとフィットビットが、いずれも360万台で、同率首位。これにアップルの270万台、中国ファーウェイ(華為技術)の160万台、米ガーミンの130万台と続いた。
このうち、首位のシャオミとフィットビットは、ベーシック型機器のメーカーとして知られている。その7〜9月期の出荷台数は、それぞれ、1年前から3.3%と33.0%減少した。
シャオミの出荷台数は、4〜6月期に前年同期比13.7%増を記録していたが、7〜9月期は減少に転じた。
シャオミは、ベーシック型のほか、スポーツ用途のスマートウオッチや、スマートスニーカーといった、ほかの種類のウエアラブルを手がけており、ライフスタイルブランドを打ち出す戦略をとっている。
しかし、その主要市場は依然中国にとどまっていると、IDCは指摘する。
また、フィットビットは「Ionic(アイオニック)」と呼ぶ同社初のスマートウオッチを市場投入しており、この製品はこれまでのところ、良い評価を受けている。
しかし、その大半を占めるベーシック型製品の出荷台数が、4四半期連続で前年割れとなった。これに伴い、同社全体の出荷台数も、大幅減となっている。
アップル、第3世代Apple Watchが出足好調
これらに対し、アップルの台数は1年前から、52.4%増加した。
アップルは、昨年9月22日にApple Watchの第3世代モデル「シリーズ3」を発売した。
つまり、7〜9月時点では、まだこのシリーズ3の効果は本格的に出ていない。だが、それでも新モデルの市場投入は、同社の出荷台数を十分に押し上げる要因になったと、IDCは指摘している。
この新製品では、同社初のセルラー対応(携帯電話通信機能内蔵)モデルを用意。
これにより、Apple Watchは、近くにiPhoneがなくても通話やネット接続が可能になった。IDCは、このモデルが今後、まだスマートウオッチを購入していない人々の購買意欲をかきたてるだろうと、予測している。
ファーウェイ、出荷台数2.5倍に
一方で、4位となったファーウェイの台数は、1年前から156.4%増と、アップルよりも高い伸び率だ。同社は、フィットネストラッカー、つまりベーシック型機器の新製品を複数、市場投入し、出荷台数を伸ばした。
ただ、ファーウェイのウエアラブル機器もシャオミ同様に、今のところ、主な市場は中国に限定されているといった状況だ。
(このコラムはJBpress2017年12月5日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報などを加えて編集したものです)