2年生右腕・石垣元気が自己最速151キロ!健大高崎、甲子園春夏連覇へ練習試合でも抜かりなし
県大会決勝から中1日の練習試合だったが、気迫は公式戦と遜色無かった。
今春のセンバツ甲子園で創部初の全国制覇を果たし、春の群馬県大会でも優勝を果たすなど快進撃が続く高崎健康福祉大高崎(以下、健大高崎)。春夏連覇に向けて慢心が一切見られない様子は、5月6日の練習試合でも顕著だった。
午前は鶴岡東(山形)を相手に髙山裕次郎(健大高崎)のサヨナラ本塁打で勝利した健大高崎、午後は明秀日立(茨城)と対決した。相手は秋に霞ヶ浦、春に土浦日大に2回戦で敗れてこそいるが、2022年には春夏連続で甲子園出場を果たしている強豪。監督はともに東北福祉大OBとあって白熱した試合展開が戦前から予想されていたが、その通りの展開となった。
まずインパクトを残したのはセンバツ甲子園決勝以来の実戦マウンドとなった2年生右腕・石垣元気だ。自己最速更新となる最速151キロのストレートにカットボールなどの多彩な変化球を織り交ぜる。一方で、光星学院監督時代に坂本勇人(巨人)、明秀日立で細川成也(中日)を育成した金沢成奉監督が指導する打線も、石垣の復帰戦ゆえの浮いた球やシュート回転の球を見逃さず2回に連続長打で先制点を奪った。
それでも石垣は最少失点に抑える5回1失点でマウンドを降り、19日に初戦を迎える春季関東大会に向けて「昨年も優勝しているので連覇を目指したい」と意気込んだ。約1ヶ月間、センバツの疲労回復のためのケアやトレーニングを十分に行なっていただけに、さらに進化した姿を見せてくれる可能性も高そうだ。
その後は、健大高崎が横道周悟の本塁打などで3対2のリードで最終回を迎えるが、9回表に明秀日立が粘る。2年生の有望株・野上士耀が先頭打者として安打で出塁すると、李玟勳と黃宇耀の台湾人留学生コンビの連続安打で逆転に成功した。
だが、ここで簡単に負けないのがセンバツ王者だ。7回から登板していた明秀日立2年生右腕の矢口樹から得点を奪えずにいたが、9回に四球、加藤大成の粘ってからのライト前安打、四球で2死満塁のチャンスを作ると、センバツではメンバー外だった坂田一心とセンバツでは控えだった岸野祥大の連続タイムリーで5対4と逆転。午前の試合に続きサヨナラ勝ちを収めた。
「こういうことの積み重ねがセンバツ優勝にも繋がりましたから。1試合も無駄にできません」と振り返ったのは健大高崎・青柳博文監督。県大会で、石垣と左腕・佐藤龍月の二枚看板をベンチ外にし、ドラフト候補捕手の箱山遥人を準々決勝まで控えに回すなど夏に向けた底上げを目指す方針を明確にしているが、この日の練習試合でも前述した選手以外にも「この選手が控え?(ベンチ外?)」と驚く選手が複数おり選手層の厚さを実感させられた。
そして、そうした競争の中でも目の前の試合を勝ちに行く姿勢も怠らない。主将の箱山は「練習試合はどこまで夏の大会に近づけられるかが大事だと思っています。負け癖がついてはいけません」ときっぱり話し「夏に向けてのチャンスは平等で、掴んだ選手がベンチに入る。良い刺激が良いプレーを産んでいます」と充実の表情だ。箱山自身もセンバツ後は木製バットで実戦に臨んでおり、自身のレベルアップにも積極的だ。
関東大会に向けても箱山は「夏の大会前最後の公式戦。ここで負けたら夏の甲子園の優勝は無いという気持ちで戦います」と力強く語る。
油断や驕りは一切見られないセンバツ王者は快挙の余韻に浸ることなく、史上8校目の春夏連覇に向けて邁進し続けている。