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白点全てブラックホール!?超大質量ブラックホールの分布を示した「地図」がヤバイ

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「超大質量ブラックホールの分布を示した1枚の画像」というテーマで動画をお送りしていきます。

●ブラックホールはどれくらいある?

突然ですが、この観測可能な宇宙にはどれくらいの数のブラックホールが存在しているのでしょうか?

ブラックホールには質量ごとに大きく3つに分類されていて、低い順から、太陽の数倍~数10倍質量を持った「恒星ブラックホール」、太陽の数百~数十万倍程度の質量を持った「中間質量ブラックホール」、数百万~数百億倍の質量の「超大質量ブラックホール」に分けられます。

これまでに人類は50個ほどの恒星ブラックホールを発見してきました。

そのどれもが天の川銀河内にあり、通常の恒星と連星を成すことで、BHにガスが流れ込み、周囲に強力なX線を放つ降着円盤が形成されています。

Credit:ESA/Hubble, N. Bartmann
Credit:ESA/Hubble, N. Bartmann

逆に言えば、人類がまだ発見できていない、例えば恒星と連星を成さず単独で存在し、光を放たず闇に潜んでいる恒星ブラックホールが天の川銀河内だけでも多数存在していると考えられます。

最近の研究では、天の川銀河の中心部にある太陽の430万倍の質量を持った超大質量ブラックホール「いて座A*」を中心とした半径3光年以内の範囲だけで、実に1万以上の恒星ブラックホールが存在している可能性があるのだとか!

当然天の川銀河全体で見ればさらに多くの恒星ブラックホールがあると考えられますし、他の銀河内や、銀河と銀河の間の空間も含めれば、それこそ途方もない数になるはずです。

そして、最も重い分類の超大質量ブラックホールについてもこれまでに多数見つかっていて、なんとこの観測可能な宇宙に数千億~数兆単位で存在すると言われているほとんどの銀河の中心部には、超大質量ブラックホールがあるとされています。

それらの間の分類の中間質量ブラックホールについては、発見例が少なく、存在する場所もはっきりとはわかっていないですが、球状星団や矮小銀河の中心部に存在する可能性があるとされています。

ブラックホールは一度でもそこに入ると、重力があまりに強すぎて2度と出てこれない、究極の天体です。

そんなブラックホールがありふれた存在にすぎないというのは、やはり宇宙という場所は本当にヤバイですね。

●超大質量BHの分布を示した地図

Credit:LOFAR/LOL Survey
Credit:LOFAR/LOL Survey

そして去年2021年2月、天文学者たちはそんなブラックホールがどれだけたくさん存在しているのかが一目でわかる、超大質量ブラックホールの分布図を公開しています。

表示中の画像に映っている白い点々は一見恒星のようですが、実際はなんと「活動的な超大質量ブラックホール」ばかりが示されているとのことです!

地球から何百万光年以上離れた銀河の中心で物質を食いつくす活動的な超巨大ブラックホールが、この画像だけで実に25000個も映し出されているとか…

左上に満月の地球から見たサイズが示されていますが、満月程度の範囲で見ればどの方向を見ても超大質量ブラックホールが存在していることが分かります。

そしてこの画像範囲は全天の2%にすぎません。

ブラックホールの周囲に大量の物質があるとき、その強大な重力で周囲の物質を超高速で公転させ、摩擦によって超高温に加熱された降着円盤が形成されます。

この降着円盤からは様々な周波数の電磁波が放出されています。

通常の恒星が放たないが、活動的なブラックホールは放つ電磁波を用いれば、恒星を無視してブラックホールのみが映し出されます。

先ほどの画像のブラックホールは、通常の恒星が放たない超低周波の電波で観測されています。

Credit: LOFAR / ASTRON.
Credit: LOFAR / ASTRON.

電波の観測に用いられたのは、ヨーロッパの52か所に分布している計2万個もの電波アンテナのネットワークである、LOFARです。

地上約60-500の範囲に存在する、太陽光や宇宙線のエネルギーによって原子が電離し、電子が独立して存在している電離層では、宇宙から来た低周波の電波の一部は反射され宇宙空間に戻っていってしまいます。

さらに大気を通過する電波の周波数も、大気の状態によって常に変化します。そのため地上に設置してある電波アンテナ群であるLOFARでは、超大質量ブラックホールが放った低周波の電波を捉えるのは非常に難しいものでした。

そこで研究チームはスーパーコンピューターを用いて、4秒ごとに大気の状態に寄る電波の干渉を計算し、観測した電波を補正するアルゴリズムを実行しました。

この高頻度な補正を、なんと256時間にわたる観測の間実行し続けたそうです!

Credit:LOFAR/LOL Survey
Credit:LOFAR/LOL Survey

それだけ高度な計算があったからこそ、このような神秘的で壮大な1枚の画像が得られた、という背景があるんですね。

今回のような超低周波の電波での撮影では、他の周波数の電磁波では得られない情報が多数得られるので、今後も今回の観測の経験を生かして、低周波の電磁波を用いた研究がさらに進んでいくことが期待されています!

https://www.sciencealert.com/the-tiny-dots-in-this-image-aren-t-stars-or-galaxies-they-re-black-holes

https://www.astron.nl/a-starry-sky-made-of-more-than-25000-supermassive-black-holes/

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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