【名古屋東区】徳川美術館で、悠久の「聞香」体験
梅香る季節、黒門を抜け徳川美術館を訪ねました。お庭をぐるりとまわり、茶室「餘芳軒」へ。
■和の香りを楽しむ 聞香
この日、徳川美術館で開かれていたのは、『聞香』の体験講座(体験料1,000円、別途入館料が必要)。
聞香とは、いくつかの香りを聞いて(嗅ぐことを「聞く」と表現します)、香りの違いを当てるゲーム。室町時代から続く香りの世界へおじゃましました。
■初めてでちょっと不安だけど、さっそくやってみる
今回の体験では「梅」「烟」「香」と名前が付けられた3種類の香りが用意されていて、まず、そのうちの「梅」と「烟」の2種類の香りを順番に聞きました。それぞれ「こんな香りね、OK」とインプットしたら下準備完了。
「出香!」
のかけ声でゲームが始まると、梅・烟・香の3種類の香りを、順番がシャッフルされた状態で聞きます。それぞれの香りを鼻と記憶から分析し、
“1番目に聞いた香りが『梅』、2番目が『香』、最後が『烟』”
といった具合に、用意された紙に「梅・香・烟」の三文字を書き付けます。
3種類のうち1種類は事前にインプットされていない香りですので消去法で確定する仕組み。正答が多いほど高得点です。なお、あとから「迷っちゃったから、さっきのをもう一度聞かせて!」はできません。
■迷いに打ちかつ精神力が試された
10名ほどの参加者のうち、ほぼ全員が聞香未経験でしたが、3名が見事全問正解。初めての聞香体験でありながら、栄光を手にした参加者にコツをうかがうと、
「普段から庭に咲いた花の香りを楽しんでいるからかも」
と教えてもらいました。ほー、きっと香りの「辞書」の厚みがちがうのね。
私はそれぞれ、
「なんか~八つ橋っぽい!」
「これはね、焼き芋の趣!!」
とホニャホニャと記憶しましたが、八つ橋の銘柄や芋の品種まで解像度を上げていかないと、ゲーム中盤で心に迷いが生じるという学びを得ました。やはり香りを記憶するためのとっかかりとなる引き出しの数がものをいいそうです。
■自然体で朗らかな雰囲気が流れる時間でした
途中、嗅ぐほどに香りの迷宮に迷い込んでしまい「ここはどこ?」状態。雑念で直観も曇ってきます。
「この試合、もうだめだ……英語のリスニングテストみたいだ……」
と周りに目をやると、なんと他の参加者も
「?」「??」
と首をかしげているではありませんか。
あまりに素直な仕草になんだかホッコリしましたが、策略渦巻く平安貴族たちによる「香りの遊び」の場では、多分こんな風に首を傾げてちゃだめなんじゃないかなと、ちょっと笑ってしまいました。
体験では徳川美術館や香についての解説や、質問タイムもあり、充実した週末となりました。
徳川美術館で催される講座・イベント情報は、公式HPからチェックしてみてくださいね。
徳川美術館
・住所:名古屋市東区徳川町1017
・アクセス:JR中央線「大曽根駅」から徒歩10分
・開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
・休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は直後の平日)
・駐車場:無料駐車場17台
・入館料:一般1,400円、高大生700円、小中生500円
※毎週土曜日は小・中・高校生は入館料無料
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