平均時間は男女ともに6時間強…睡眠時間の現状をさぐる(2024年発表版)
日常生活の営みの中で欠かせない生理的行動の一つが睡眠。寝不足は確実に心身へのダメージを与え、回復を遅らせることになる。睡眠の実情を厚生労働省が2024年8月に発表した国民健康・栄養調査(※)の報告書から確認する。
体質や生活習慣、労働環境など多様な要素により、適切な睡眠時間は異なる。当然、同じ睡眠時間を確保して寝ても、すべての人が等しい健康状態となるわけではない。疲れている時は通常時よりも長い睡眠時間を取りたくなるのが好例である。よって、単純に睡眠時間が長ければよいわけではない。
さらには本人が睡眠時間と認識している時間(今件設問は「ここ1か月間、あなたの1日の平均睡眠時間はどのくらいでしたか」であり、それに回答者が自分の実情を答えたまでの話。専用の機器で回答者の睡眠時間を計測したわけではない)のうち、心身ともに睡眠として認識できる状態と、それに至らない状態の時間との関係もある。また睡眠時無呼吸症候群のように、睡眠時に身体上のトラブルを生じている(本人が気が付いている・いないを問わず)場合は睡眠時間そのものが長くとも、心身の休まり度合いは通常時の同時間における睡眠と比べて低くなる。
それらを念頭においた上で。一日の平均睡眠時間を時間区分別に比率で示したのが次のグラフ。年齢とともに男性は30代ぐらいまで・女性は50代までにおいて赤系統色(=睡眠時間が短い)の面積が増え、それ以上は減少していくことから、その年齢階層までは睡眠時間が減少傾向にあり、それ以上は再び増加していくのが分かる。
一番短い区分となる、もっとも濃い赤系統色の「5時間未満」の部分だけを見ると、男性はばらけているが、女性は40~50代が短い睡眠時間としてのピークであるのが確認できる。
とはいえ、このグラフからは「どの睡眠時間帯にどれだけの人がいるのか、またその変移」は把握できても、全体的な睡眠時間そのものの動向は多少把握しにくい。そこで各時間区分の中央値(両端はそれぞれ他の階層と同じ時間の足し引きとなるように。具体的には4.5時間・5.5時間・6.5時間…)を用い、概算的な平均値を計算したのが次のグラフ。
縦軸の下限がゼロではなく5.6時間であることに注意してほしい。この限りにおいては、男性は30代、女性は50代で睡眠時間が一番短くなり、それ以上の年齢ではおおよそ延びる動きを見せていることが分かる。「お年寄りほど睡眠時間が長い」(起床時間は早いが)との経験則は間違いではないことが確認できる次第である。
また「国民健康・栄養調査」では不定期に睡眠時間に関する計測を行っており、前回の値は2019年分、その前は2018年分となる。そこで今回の2022年分と合わせ、同様の計算方法で算出した平均睡眠時間について、男女別・年齢階層別に並べたのが次のグラフ。
男性60代以上や女性30代・70歳以上で短くなる一方で、男性30代や女性50代では長くなる傾向がある。これが中長期的なものか、今後の計測結果を追う必要はあるのだろう。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2022年11~12月中。今回調査分では調査実施世帯数は2910世帯で、調査方法は調査票方式。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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