平日7時間強、休日8時間少々…睡眠時間の現状(2021年公開版)
日々の生活において呼吸や食事とともに欠かせない生理的欲求行動の一つが睡眠。今回はNHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に、睡眠時間の現状を確認する。
今件における睡眠時間は30分以上連続した睡眠の時間を指す。うつらうつらとしたぼんやりとした時間、10分ぐらいの短時間な仮眠は該当しない。逆に30分以上の連続したものであれば、夜に床に就くことによる就寝以外の仮眠や昼寝なども睡眠時間としてカウントされる。
直近計測年における平均睡眠時間を見ると、平日で7時間12分、日曜では8時間02分。50分の差異が確認できる。
先行記事で今調査の分析結果として、テレビ視聴の動向から朝食時、さらには起床時間が日曜は平日と比べて遅い実情が推測できることについて言及したが、今件と重ねて考えると「日曜は睡眠時間をかさ上げする(平日の補完をする)ために遅く起きる」ライフスタイルが見えてくる。
男女別・年齢階層別の動向を確認すると、男女とも平日や土曜で50代前後の睡眠時間が短めなのが分かる。
日曜はややずれが生じているが(女性では60代が一番短い)、一番短い属性は平日・女性50代の6時間36分。40代以降の女性の睡眠時間が押し並べて低いのは、家事、特に朝食(とお弁当)の準備のためであろうことは容易に想像できる。また、年が上になるに連れて睡眠時間は延びており、早寝をしているのが分かる。また男女ともに70歳以降急激に増加するのは、定年退職によるところも大きい。出勤のための早起きの義務が無くなれば、少しぐらいの寝坊をしても、とがめられることはない。
さらに平日と土日との差異を見ると、就業世代は男女とも長めで30分から1時間程度。特に日曜は長い睡眠時間となっている(男性40代は平日と日曜の差が1時間25分にも達している)。平日のタイトなスケジュールで不足気味な睡眠時間を、休日で補う努力が見て取れる。
調査年別に見ると、多くの職種で睡眠時間が減少する傾向があった。しかし2015年以降はではその動きが多くの属性で止まり、さらに一部では増加に転じる気配すらある。
販売職・サービス職のような有職者だけでなく主婦、そして無職でも睡眠時間はかつて減少傾向にあり、この1995年から2010年にかけて10~20分程度の縮小をしていたのが把握できる。それだけ日常生活が忙しくなり、睡眠時間を削らざるを得ない、あるいは削ってでもやりたいことが増えている証だろう。他方、2015年以降ではそれら減少の動きのほとんどが止まり、睡眠時間の減少に歯止めがかかったことがうかがえる。無理をせずに睡眠時間の確保をする動きは、好意的に見るべきではある。
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※2020年国民生活時間調査
住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。
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