音楽CDとダウンロードが売れない時代の救世主、ストリーミングついに80%
全米レコード協会(RIAA)がまとめた、同国のレコード(録音)音楽販売統計(PDF書類)によると、今年上半期における売上高は、小売りベースで前年同期比18%増の約54億ドル(約5800億円)だった。
昨今は「ストリーミングサービス」がこの市場を牽引している。その売上高は前年同期比26%増の43億ドル(約4600億円)で、米レコード産業全体の80%を占めた。この比率は昨年の統計で75%だった(図1)。
- 図1 米レコード産業市場のストリーミング販売額の比率推移(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
有料サブスク、米レコード産業の6割超
ストリーミングサービスの中で最も好調だったのは「Spotify」や「Apple Music」などの有料サブスクリプション(定額制)サービス。
その売上高は同31%増の33億ドル(約3500億円)で、米レコード産業全体の62%、ストリーミングサービスの77%を占めた(後述の【1】と【2】)。
6月末時点の有料会員数は同30%増の6110万人となり、初めて6000万人の大台を突破した。新規加入者数は過去1年、毎月100万人以上のペースで増えたという(後述の【1】)。
RIAAが言うストリーミングサービスには次の4つがある。
【1】有料サブスクリプション(フルサービス):Spotify、Apple Music、Amazon Music Unlimited、TIDALなど
【2】有料サブスクリプション(縮小版サービス):Amazon Prime Music、Pandora Plusなど
【3】広告付きオンデマンドサービス:YouTube、VEVO、Spotifyの無料版など
【4】インターネットラジオ/衛星ラジオ:Pandora、SiriusXMなど
このうち【2】の縮小版サービスの売上高は、前年同期比39%増と大幅に伸びた。また、【3】の「YouTube」などの広告付きオンデマンドの売上高は同25%増の4億2700ドルとなり、ストリーミング売上高の10%を占めた。
ダウンロード販売17.7%減
こうした中、米アップルのiTunes Storeをはじめとする「ダウンロード販売」の売上高は4億6200万ドルで 同17.7%減少。シングルは16%減、アルバムは23%減だった。2013年のピーク時に42%あったレコード産業全体に占めるダウンロード販売の比率は、8.6%に低下した。
CD依然低迷が続く
また、音楽CDやアナログレコード、ミュージックビデオなどの「物理メディア」は、同5%増の4億8500万ドルだった。
このうち、CDの売上高は同0.8%増の2億4800万ドル、販売枚数は同横ばいの1860万枚。CDは1999年をピークに右肩下がりで推移し、昨年は年間売上高が1986年以降で初めて10億ドルを下回った(図2)。
- 図2 米レコード音楽市場の媒体別売上高推移(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
一方、アナログレコードの今年上半期の売上高は同13%増の2億2400万ドルとなり、低迷する物理メディアの中で唯一の明るい材料だった。
- (このコラムは「JBpress」向けの記事として2019年9月9日に執筆した原稿をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)