永瀬拓矢二冠&藤井聡太七段がリーグ優勝、挑戦権をかけて激突!王位リーグを振り返る
13日、第61期王位戦挑戦者決定リーグ最終一斉対局が行われた。
紅組で全勝の永瀬拓矢二冠(27)、白組で全勝の藤井聡太七段(17)がそれぞれ勝利して優勝を決め、挑戦者決定戦に進出した。
木村一基王位(46)への挑戦権をかけた一戦は、23日(火)に行われる。
先日も棋聖戦の挑戦権をかけて戦った両雄が、再びタイトル挑戦をかけて相まみえる。
猛者揃いの王位リーグで全勝するのは至難の業である。
にもかかわらず、この二人は全勝でリーグを駆け抜けた。連続して挑戦者決定戦を戦うことと合わせて、いまの二人の実力を示したものと言える。
藤井七段
藤井七段は阿部健治郎七段(31)との対戦だった。
研究家の阿部七段が序盤から積極的な指しまわしで主導権を握る。
しかし藤井七段は動じず、反撃の機会をうかがう。
10日の対局はやや精彩を欠く内容での敗戦で、調子を落としているようにも見えたが、この日の藤井七段は強かった。
攻防の角打ちから反撃に転じると、あっという間に相手玉を仕留めてしまった。
これで白組リーグを堂々の全勝で優勝を果たし、挑戦者決定戦へと進出した。
結果だけみれば全勝だが、簡単な戦いではなかった。
初戦の羽生善治九段(49)戦は、終盤までどちらが勝つかわからない、ハラハラドキドキの展開だった。
2~4回戦は不利な場面もある中での勝利だった。
特に4回戦の稲葉陽八段(31)戦は、劣勢のうえに秒読みという悪条件を跳ね返して逆転勝ちした。
リーグ残留は4勝1敗の羽生九段。最終戦で同星の菅井竜也八段(28)を下したが、リーグ優勝まではあと一歩届かず。
しかしこの勝利で、王位戦におけるリーグ残留以上を28年連続とした。
永瀬二冠
永瀬二冠は本田奎五段(22)との対戦だった。
中盤までは互角の展開だったが、競り合いに強いのが永瀬二冠の持ち味だ。
気がつけば優位を築き、一気に仕留めた。
2日前に順位戦B級1組の対局をこなしたばかりで疲労も心配されたが、問題なかったようだ。
今期のリーグを振り返ると、永瀬二冠は全体を通じてねじり合いから競り勝つ将棋が目立つ。
結果的に優勝の行方をわけた豊島将之竜王・名人(30)との対戦では、長い駒組みからねじり合いになり、169手の大熱戦を制した。
2回戦の佐々木大地五段(25)戦では、持将棋指し直しでの勝利だった。
永瀬二冠も決して楽な戦いではなかった。
挑戦者決定戦
挑戦者決定戦は、4日の棋聖戦に続いて永瀬二冠―藤井七段の組み合わせとなった。
同じ月に2度対戦が組まれるのも珍しいのに、それが挑戦者決定戦という舞台なのは二人がよく勝っている証拠だ。
そして勝っている者の宿命として、日程がかなり厳しい。
藤井七段は、20日(土)に第33期竜王戦3組ランキング戦決勝を戦う。相手は師匠の杉本昌隆八段(51)だ。
永瀬二冠は、21日(日)に第5期叡王戦七番勝負第1局を戦う。こちらの相手は豊島竜王・名人だ。
18日(木)にも対局が組まれており、永瀬二冠のほうが厳しい日程といえる。
先日の棋聖戦は、解説者が「芸術作品のよう」と評した素晴らしい戦いだった。
再びこの二人が大舞台で相まみえるのは楽しみだ。
先日、筆者は記事の中で、
と書いたのだが、ひと月と待たずに舞台を移して対戦が実現した。
木村王位に挑戦するのは永瀬二冠か藤井七段か。
注目の大一番は木村王位の誕生日でもある、23日(火)に行われる。