都内で、いま中古マンション価格が最も高い場所「千代田区富士見」ってどこ?
今、都心部で中古マンション価格が最も高額なのは千代田区富士見で、70平米の3LDKが1億5435万円。港区の西新橋と東新橋がトップ10に入り、渋谷区の宇田川町が1年間で28%も価格上昇した……そんな興味深いデータが、5月28日に発表された。
発表したのは、マンション情報サイト「マンションレビュー」を運営し、不動産関連のビッグデータを提供するワンノブアカインド社。「マンションレビュー」のデータでみる「都心6区のマンション相場変遷10年」と銘打った調査シリーズの公開を開始し、今回はその第1弾として「都心3区(千代田・中央・港)+渋谷区」のデータが発表された。
千代田・中央・港の3区は、純粋な都心部。この3区に渋谷駅周辺の再開発で活気づく渋谷区を加えて、超都心4区の中古マンション相場や、2020年との価格比較、10年間の騰落率などが発表された。
最も価格が高いのは、「千代田区富士見」
千代田・中央・港・渋谷の4区は、間違いなく日本で最もマンション価格が高い場所。「すぐにでも買うぞ、宝くじが当たったら」と多くの人が夢みる場所でもある。その超高額エリアで、特に中古マンション価格が高い町名・上位15カ所をまとめたのが、下の表だ。
上位15カ所には、「東新橋」など見慣れぬ地名も
1位から15位までのエリアで、70平米の中古マンション3LDKを買おうとすると、すべて1億円を超える。
その顔ぶれには、以前から都心一等地と言われていた場所の地名ばかりが並ぶ……と思われがち。一番町から六番町まである千代田区の「番町」エリアと、港区の「南青山」、そして、「赤坂」や「麻布台」、「三田」といったかつての武家屋敷街が上位を占めるのでは、と。ところが、発表された上位には、馴染みの薄い町名が混じっている。
そもそも、「超都心部で中古マンション価格が最も高いのは千代田区の富士見」といわれても、富士見がどこにあるのか分かる人は多くないだろう。
縁起がよさそうな地名なので、皇居の近くか、と思われそうだが、皇居の隣接地ではない。靖国神社の北側で、靖国神社とJR総武線飯田橋駅の間に位置する場所。そして、法政大学や暁星学園があるエリアが千代田区富士見だ。
病院が集まる場所でもあり、10年近く前に警察病院跡地が再開発されて、大規模超高層マンションが分譲されたこともある。
町名の由来は、富士山がよく見える場所であるから。今も、超高層マンションの西向き上層階からは富士山がよく見えるという。
一方で、飯田橋駅近くには個人商店が集まる区域もあり、神楽坂にも近いので、買い物便利でグルメも楽しみやすく、都心生活をエンジョイしたい人に向く場所といえる。
この千代田区富士見が、都心4区で中古マンション価格が最も高い場所になったのは、近年、再開発で誕生した超高層マンションが複数あることが理由だろう。
築浅(建設されてからだいたい10年以内)の超高層マンションは、上層階住戸が高額になりやすい。高額住戸が売りに出ることで、中古マンションの相場価格が上がったと考えられるわけだ。
中古マンション価格の高さで第4位の港区西新橋は、虎ノ門や神谷町に近い場所で、オフィス街のイメージがある。が、近年は虎ノ門ヒルズや新虎通りの開発に伴い、マンションも増加。時代を先取りする場所として人気を高めているので、中古マンション価格も上昇中だ。
8位の港区東新橋は浜離宮に近い汐留エリアに位置し、ここでも近年、再開発による大規模超高層マンションが複数分譲された。
駅周辺の大規模再開発で活気づく渋谷にも価格上昇エリアが
一方で、超高層マンションの中古物件がまだ出ていないのに、この1年で28.04%もの価格上昇がみられたのが、15位の渋谷区宇田川町。「渋谷センター街」からパルコを経て、渋谷区役所・渋谷公会堂が所在する場所までを含むエリアだ。
渋谷区役所、渋谷公会堂に隣接する超高層の定期借地権マンションが昨年末に完成しているが、中古マンション相場への影響はまだ考えられない。
それよりも、渋谷駅周辺が再開発で劇的に生まれ変わっていることで、渋谷駅に近い宇田川町の注目度が増しているのではないか。
結局、千代田・中央・港・渋谷の超都心4区で中古マンション価格が高いのは、再開発が行われたり、再開発が進行している場所ということになる。
さらに、再開発で生み出される超高層マンションは、エリアの不動産価格を押し上げているのも事実。街並みが整備され、生活便利な再開発・超高層マンションは、やはり要注目なのである。