特定秘密保護法案、「首相が第三者機関」というとんでもない「妥協」を許してはいけない。
自民党、公明党、みんなの党が、秘密保護法案について、
修正協議で妥協した、という報道に接したので、どこかすこしでもまともになったところがあったのか確認してみた。
すると、あまりにも珍妙な妥協案なので、驚いてしまった。
日本の政治家ってみんなこんなに頭が悪いのだろうか。あまりの低レベルに暗澹たる思いだ。これは右とか左とかそういうレベルではない。法律や憲法に関する高校生レベルの理解力もないのではないだろうか。
首相は行政の長であり、行政の責任者である。行政に対する第三者ではあり得ない。
そもそも第三者機関が必要なのは、行政権力の暴走・濫用を防ぐためである。
その歯止めの役割を行政のトップである首相が果たす、というのは内部統制に過ぎず、第三者機関によるコントロールでないことは明確である。
もし企業が大きな不祥事をしたとしよう。そこで第三者機関を設置して、不祥事の検証・再発防止をしようというときに、その第三者機関のトップが企業の社長だったとしたら、みんな呆れてしまい、一斉に非難されることであろう。それと同じような手打ちを、大真面目に、日本の政権与党を含む公党が三党そろってするというのはあまりにも深刻である。
これほど重要な法案をこんな愚かしい議論で通してしまってはならないし、私たちはこんな政治を「仕方ない」と許してしまってはならないと思う。
一方、日本維新の会との修正協議は、もう少しまともなのだろうか。
「第三者機関の設置検討を法案の附則に盛り込むことで合意」したとある。これもあくまで「第三者機関の設置を検討する」と一文書き込むだけであり、将来の検討事項に過ぎず、法案の骨格を変えるものでは全くない。子どもだましだ。与党も与党だが、こんな子どもだましの修正で受け入れてしまう野党もあまりにも腰が引けており、野党としての誠実さ、真剣さに著しく欠けている。
人権や民主主義を危険に晒すことになるこの法案、このようなレベルの低い議論で安易に話しを通してよいはずはない。
小手先の修正では到底この法案の本質を変えることはできない。
国会でも、報道も、また社会も、もっと真剣で実のある議論をしていくべきだと思う。
与野党の修正に茶番・妥協・ごまかしがないか、それを伝えるメディアも物事の本質をきちんと伝えているのかどうか、有権者としては厳しくチェックしていきたい。