ブラジル中銀、インフレ抑制狙い政策金利を8.5%に引き上げ―3会合連続
ブラジル中央銀行(BCB)は10日の金融政策決定委員会で、インフレ悪化リスクに対処するため、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を市場の予想通り、0.5%ポイント引き上げ8.5%にすることを全員一致で決めた。利上げは4月の0.25%ポイント、5月の0.5%ポイントに続いて3会合連続で、これで計1.25%の利上げとなる。
中銀は政策決定後に発表した声明文で、「今回の利上げ決定はインフレを引き下げることに寄与し、この傾向が来年まで続くことを確実にするものだ」と述べており、バイアス(金融政策に対する姿勢)は依然としてタカ派(インフレ重視の強硬派)の姿勢だ。
政策金利のこれまでの動きをみると、2011年8月の12.5%から12%への引き下げ以降、昨年10月まで10会合連続で引き下げられ、下げ幅は計5.25%ポイントに達した。11月からは政策金利は3会合連続で据え置かれたが、インフレ悪化懸念が強まった今年4月会合から再び利上げサイクルに入っている。
今回の利上げ決定も、中銀が先月下旬に発表した四半期インフレ報告書で、今年の同国のGDP(国内総生産)伸び率の見通しを前回3月予想時の3.1%増から2.7%増へ下方修正するという弱い経済成長見通しの中で行われた。前回5月会合と同様、中銀はインフレ抑制が経済成長に寄与すると判断し利上げキャンペーンを続けているといえる。
中銀はこの四半期インフレ報告書で、インフレ見通しについて、標準シナリオの場合、今年12月末時点のIPCA(拡大消費者物価指数)は前回予想時の5.7%上昇から6%上昇へと、下方修正(悪化)している。ちなみに、2012年のIPCAは5.84%上昇だったので、今年はこれを上回ると見ており、インフレ懸念を強めているのだ。
中銀が8日に発表した経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した7月の金融政策決定会合時の政策金利の見通しは、前週予想の8.5%のまま据え置かれており、今回の0.5%ポイントの利上げは織り込み済みだった。しかし、その一方で、今年の実質GDP伸び率見通しは、前週予想の前年比2.4%増から同2.34%増へと、8週連続で下方修正され、2014年の見通しも前週予想の同3%増から2.8%増に下方修正され、景気後退が懸念されている。
英紙ファイナンシャル・タイムズの11日付電子版によると、米証券大手ゴールドマン・サックスは、今回と次回8月会合で各0.5%ポイントの利上げ、さらに、10月会合でも0.25%ポイントの利上げで、政策金利は9.5%になり、利上げサイクルは終わると予想する一方で、野村証券のエコノミスト、トニー・ボルパン氏は、今年の成長率見通しを2.5%増から1.6%増へ、来年も2.3%増から1.8%増へ下方修正しており、景気後退に懸念を示している。
次回の金融政策決定委員会は8月27-28日に開かれる予定。(了)