宇宙に実在するのに「正体不明の天体」3選
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「実在するのに正体不明の天体3選」というテーマで動画をお送りしていきます。
正体不明のコンパクト天体
2019年8月、地球からはるか8億光年も離れた場所で起きた、太陽の23倍の質量を持つブラックホールと、太陽の2.6倍程度の質量を持つコンパクトな天体が合体する瞬間に放たれた重力波が捉えられました。
中性子星は質量がある一定を超えてしまうと、ブラックホールになると考えられています。
そのため中性子星の質量には上限があり、ブラックホールの質量には下限があります。
中性子星とブラックホールの質量の境界線についてはまだはっきりとした数値が解明されていません。
この境界については最大の中性子星と最小のブラックホールをたくさん観測することで徐々に差を埋めていく他ありません。
実際にこれまで観測されてきたもので最大の中性子星の質量は太陽の2.14倍程度、最小のブラックホールは3倍程度であると考えられているので、少なくとも2天体の境界線はその間にありそうです。
それでは今の境界の話を踏まえた上で、2019年8月に検出された重力波は、太陽の23倍程度の質量のブラックホールと、太陽の2.6倍程度の質量のコンパクトな天体が衝突合体したとのことでした。
太陽の2.6倍程度の質量を持つコンパクトな天体は間違いなく中性子星かブラックホールのどちらかではあるのですが、まさに2天体の境界線付近にある質量だということがわかりますね。
この天体は現在のところ中性子星なのかブラックホールなのか不明ですが、既知の中で最大の中性子星の質量は太陽の2.14倍程度、最小のブラックホールは3倍程度なので、どのみち大幅に2天体の境界線に近付いたと言えます!
現時点では衝突した天体はブラックホールと中性子星のどちらの可能性も否定できていないため、今後さらにこの天体の解明に向けて研究が続けられることでしょう。
奇妙な電波サークル(ORC)
2019年、西シドニー大学の研究者は、宇宙を電波によって広範囲かつ深いところまで観測できるASKAP望遠鏡が撮影したデータを見ていたところ、既存のデータに合致しない奇妙な天体が浮かんでいることに気付きました。
その後残りのデータからも、同様の奇妙な電波源をいくつか発見することができたようです。
研究者たちはこの奇妙な天体を「Odd Radio Circle(ORC、奇妙な電波サークル)」と名付けました。
ORCは発見当初、観測データのエラーによって画像に含まれたノイズであると考えられていましたが、その後別の電波望遠鏡による観測で、実在する天体であることが確認されました。
ではその正体は何なのかというと、実は現代の理論をもってしても全く理解されていないという現状となります。
そもそもこの天体との距離が理解されていません。距離というパラメータは、天文学の分野で特に確定が難しいものの一つです。
そのために、この天体の実際の大きさも全くわかっていません。
太陽系と同様に天の川銀河内にある、直径数光年程度の大きさの天体なのかもしれませんし、遥か彼方の宇宙にある、直径数百万光年規模の超巨大天体なのかもしれません。
画像のORCの中心部にはオレンジ色の銀河があり、他のORCの中心にもこのような銀河が存在するケースがあります。
このような中心の銀河がORCの一部だとしたら、ORCは非常に遠方にある超巨大な天体である可能性もあります!
また、ORCを人間が見える可視光線で観測しようとしても、何も見えないそうです。
つまり電波でしか観測できない天体というわけです。
ORCの正体は全く見当がついていないので、理論的には存在が示されているものの、これまで観測されていないような現象を候補として、様々な可能性を検討する必要があるとされています。
例えば遠方の銀河で中性子星やブラックホール同士が合体し、巨大な爆発を発生させ、その衝撃波がORCとして観測されている、などといった可能性です。
また、科学者はORCがなんと「ワームホール」である可能性も提唱しています!
ワームホールは宇宙空間におけるショートカットであり、これを使えば短期間で広大な宇宙空間を瞬間移動できる可能性が示されています。
ワームホールの入り口はブラックホールであり、その出口はホワイトホールなんだそうです。
ホワイトホールがまず仮説上の天体ですし、当然ワームホールも仮説上の構造で、まさにSFの中にしかないような天体という印象があります。
逆に言えばそんなワームホールすら候補として検討されるほど、ORCの正体は全くわかっていないということですね!
Gオブジェクト
銀河系の中心部には、太陽の430万倍もの質量を持つ超大質量のブラックホール「いて座A*」があると考えられています。
いて座A*は強大すぎる重力を持つので、通常は惑星や小天体に対してイキリ倒している太陽やそれより数倍重い恒星すらも軽々とぶん回しています!
いて座A*の近くでぶん回されている恒星はこれまでいくつも見つかっていて、それらにはS1,S10などといった風にS○○と命名されています。
そしてブラックホールの周囲にはS○○と名前が付く単なる恒星以外にも、Gの名前を持つ得体の知れない天体が公転していると考えられています。
Gオブジェクトは単なる恒星にしては大きく広がっていたため、当初は密集したガスだと考えられていました。
ですがGオブジェクトの一つであるG2がいて座A*に最接近した際、ガスであれば重力によって形が崩れると考えられていたところ、なんと形は変えながらも塊の状態を維持したままブラックホールから遠ざかっていったことがわかっています。
このことからG天体は通常の恒星でも、ガス雲でもない、「星やガスが密集している銀河中心部ならではの何か」であると考えられるようになりました!
想像図ではクリオネのような奇妙な見た目で描かれています。
その後もGオブジェクトに関する観測は続き、現在ではG1,G2,G3,G4,G5,G6の6つのGオブジェクトが発見されています。
G天体の正体については明確なことはわかっていません。現時点で科学者たちが考えている最も有力な説としては、「連星が合体してできた恒星」であるそうです。
巨大ブラックホールの近くにある連星系(2つ以上の恒星が重力的に結びついた恒星系)は、長期にわたってブラックホールの重力を受け続け、連星の軌道が変化して最終的に衝突する場合があります。
そして連星が合体すると、図のように核となる恒星の周りに重力的に強く結びついた塵やガスがまとうような構造を持つ、非常に特殊な天体ができるそうです。
このような天体であれば、単なる恒星とも性質が異なり、かといって単純なガスの集まりのようにブラックホール接近時に形が崩れることもない、これまでの観測とも矛盾しない性質を持つ天体が生成されるということです。
また最近には、G天体の奇妙な特徴を説明する解釈として、いて座A*がブラックホールではなく、巨大なダークマターの塊であるというぶっ飛んだ説も登場しています。
以下の動画で詳しく解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。