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なぜD・ヌニェスに“140億円”の価値が付いたのか?ハーランドのシティ移籍...CFが求められる理由

森田泰史スポーツライター
リヴァプールに移籍するD・ヌニェス(写真:ロイター/アフロ)

マーケットの本格的な開幕を前に、ビッグディールがまとまった。

リヴァプールはベンフィカからダルウィン・ヌニェスを獲得した。移籍金7500万ユーロ+ボーナス2500万ユーロで、合計1億ユーロ(約140億円)の取引が成立している。

競り合うマティップとD・ヌニェス
競り合うマティップとD・ヌニェス写真:ロイター/アフロ

「ダルウィン・ヌニェスがベンフィカの唯一の脅威ということではない。彼らはチームで戦っている。だがダルウィンは素晴らしいFWで、おそらく次世代のウルグアイのストライカーになるだろう」

「彼がどのように(ルイス・)スアレスや(エディンソン・)カバーニと一緒にプレーするべきかはわからない。彼らを共存させるのは、ひとつの挑戦になるだろうね。チャンピオンズリーグのアヤックス戦では素晴らしいゴールを決めていたし、ゴール前でとても落ち着いている選手だ」

これは以前ユルゲン・クロップ監督が残していたコメントだ。

■希代のストライカー

2021−22シーズン、2冠を達成したリヴァプールだが、チャンピオンズリーグでは決勝でレアル・マドリーに敗れ、プレミアリーグにおいては勝点1差でマンチェスター・シティに優勝をさらわれた。

そのシティは、アーリング・ハーランドの獲得を決めている。契約解除金6000万ユーロ(約84億円)が支払われ、稀代のストライカーのプレミア挑戦が決定した。

ハーランドは21−22シーズン、ドルトムントで公式戦30試合に出場して29得点をマークした。

移籍が決まったハーランド
移籍が決まったハーランド写真:ロイター/アフロ

無論、シティは得点力がないチームではない。優勝を果たしたプレミアリーグでは99得点を挙げてリーグトップの数字を残している。

ペップ・グアルディオラ監督はゼロトップを使っていた。昨年夏にセルヒオ・アグエロの退団があり、純粋なCFタイプはガブリエウ・ジェズスのみだった。フィル・フォーデン、ラヒーム・スターリング、ケヴィン・デ・ブライネ、ベルナルド・シウバ…。中盤やウィングの複数選手が、頂点に置かれた。そのなかで、チーム内得点王に輝いたのはリャド・マフレズ(24得点)だった。

「ハーランドはシティにフィットする。それを確信しているよ。彼は信じられないくらい素晴らしい若いタレントだ」とはグアルディオラ監督の弁である。指揮官はハーランドの適応に自信をのぞかせている。

■ルカクのケース

一方、ストライカーの適応というのは、簡単ではない。

昨年夏、チェルシーがロメル・ルカクを獲得した。移籍金1億1300万ユーロをインテルに支払い、ルカクのチェルシー復帰が決まった。20−21シーズンのチャンピオンズリーグを制したチームに、大型ストライカーが加わる。それは間違いのない戦力強化になると思われた。

だがルカクはプレミアリーグ26試合で8得点と不発に終わっている。インテル時代には、公式戦95試合で64得点を記録していた。冬のマーケットが開いた際には、「フィジカルコンディションは良い。だけどチェルシーでの状況には納得できない。(監督のトーマス・)トゥヘルが違うシステムを選んでいる。心から、インテル復帰を望んでいる」と発言。物議を醸した。

【3−4−2−1】で、カイ・ハフェルツをゼロトップに据えるシステムが機能していた。そこにルカクを嵌めるのは、容易ではなかった。待望の復帰から一転、ルカクにはこの夏売却の可能性がある。

復帰一年目で難しいシーズンを過ごしたルカク
復帰一年目で難しいシーズンを過ごしたルカク写真:ロイター/アフロ

そう、ストライカーの順応は難しい。それでも、リヴァプールとシティは、大金をはたいてD・ヌニェスとハーランドの獲得に踏み切った。

高額な移籍金が発生すれば、メデイアやファンからの重圧は高まる。ゴールという結果だけが、彼らの今後の本当の価値測る指標になる。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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