米国デビューをモノにしたWBAフライ級1位
コスタリカからやってきた11戦全勝9KOのWBAフライ級1位、デビッド・ヒメネスと、同2位のアメリカン、20勝(15KO)1敗のリカルド・サンドバルのファイトは非常に見応えがあった。
指名挑戦権を持つヒメネスは、WBAフライ級タイトル挑戦者決定戦に出場しなくても良かった筈だ。だが自身の米国デビュー戦で、敢えて2位の実力者と対峙することで、己の価値を知らしめようとした。
サンドバルはWBAでは2位だが、IBF、WBOでは共に1位、WBCで3位とマッチメイクに恵まれれば、すぐにでも世界挑戦が実現しそうなファイターである。この試合をモノにして弾みをつけたいと考えたのは、陣営だけでなく、ゴールデンボーイ・プロモーションの代表、オスカー・デラホーヤも同じであっただろう。
4回戦時代に1敗しているものの、勢い付く23歳のサンドバルが、30歳のコスタリカンを踏み台にする青写真が描かれているかに見えた。
しかし、実力伯仲した両者は、序盤から我慢比べのようなファイトを展開する。12ラウンドを戦うのはヒメネスが初、サンドバルが2度目であり、ペース配分が一つの鍵となりそうだった。
身長で4センチ、リーチで5.5センチ上回るサンドバルのジャブを、ヒメネスが肩を内側に回してブロックするテクニックが印象に残った。パンチ力も、ややヒメネスが上か。
ただ、コスタリカンにとって、あくまでも敵地でのファイトだった。第7ラウンド、ホールディングで減点を告げられる。翌8ラウンドには、左右のボディーと左フックを喰らってピンチに立たされるも、クリンチとフットワークで凌ぎ切る。
第11ラウンド残り26秒、ヒメネスは接近戦でショートの右フックをクリーンヒットし、ダウンを奪う。
10ラウンドまでの採点は、ジャッジ3名がそれぞれがサンドバル優勢としていたが、ヒメネスはこの終盤の粘りでサバイバルを制した。スコアは114-112が2名、残る1名は113-113であった。
試合後、勝者は言った。
「勝利を飾れて、心から幸福を感じます。我々はゲームプランを完璧に遂行しました。前半の6ラウンドは、的に向かって大きく動きました。後半はアドバンテージを取れたと思います。サンドバルはタフで手強かったです」
2つ目の黒星を喫したサンドバルも話した。
「俺が勝ったよ。イメージ通りに的確にパンチを当てたし、カウンターで彼を沈めたり、突き上げたりしていただろう。どんな戦いだったか、見た人は理解している。まったくクソみたいな判定だな」
勝ち残ったヒメネスは今後、どんな戦いを見せるのか。WBAフライ級タイトル挑戦が、すんなりと決まることを願う。また、サンドバルも再起を期待したい。