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ストラスバーグの引退会見がキャンセル!? 復帰をめざすことにしたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)May 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先月下旬、ワシントン・ポストのジェシー・ドハティとベリー・スブルーガは、スティーブン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)の引退会見が9月9日に予定されている、と報じた。

 それについては、こちらで書いた。

「ストラスバーグの113勝はドラフト全体1位の7位。7年2億4500万ドルの契約半ばで引退へ」

 ナショナルズは、2019年に初のワールドシリーズ優勝を飾った。ワールドシリーズMVPに選ばれたストラスバーグは、直後にFAとなり、ナショナルズと7年2億4500万ドル(2020~26年)の再契約を交わした。

 2020年以降の登板は8試合。最後に投げたのは、昨年6月9日だ。

 けれども、会見はキャンセルされるらしい。ジ・アスレティックのブリット・プットローリやUSAトゥディのボブ・ナイテンゲールが、そう報じている。

 彼らの記事によると、経緯はこうだ。この夏、ナショナルズは、ストラスバーグに引退を持ちかけた。この時点では、契約の残り、来シーズン以降の1億500万ドルに関する話はなく、ナショナルズが全額を支払うはずだった。保険には入っていなかったようだ。ストラスバーグの故障歴がネックになったと思われる。その後、ナショナルズは、支払いについて、考えを変えたという。

 減額を求め、代理人のスコット・ボラスと交渉を行ったが、合意には達していないということだろう。

 オーナーのマーク・ラーナーは、引退会見のキャンセル――ナショナルズは会見を行うとは発表していない――が報じられた直後に、声明文を出した。その最後には「スプリング・トレーニングが始まった時、スティーブンに会えるのを楽しみにしている」とある。

 これは、ストラスバーグが復帰をめざし、来年のスプリング・トレーニングに参加する、という意味ではないはずだ。ストラスバーグとボラス(と選手会)に、どうやって減額を受け入れさせる(認めさせる)のかはわからないが、ナショナルズは、スプリング・トレーニングまでに合意を得て、そこで引退会見を開くつもりでいると思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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