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今週は4月の暖かさに 春は3歩前進1歩後退、のち2歩前進でさくらの春へ

饒村曜気象予報士
桜 東京都(写真:アフロ)

緩んできた冬型の気圧配置

 令和4年(2022年)に入ってからは、西高東低の冬型の気圧配置が続いて強い寒気が南下し、全国的に寒い日が続きました(図1)。

図1 真冬日と冬日の観測地点数の推移
図1 真冬日と冬日の観測地点数の推移

 2月21日は最高気温が氷点下を観測したのが気温を観測している914地点のうちの329地点(36パーセント)と、今年に入って2番目の多さでした(図1)。

 また、冬日は2月24日に776地点(85パーセント)と、これも今年に入って2番目の多さでした。

 このため、北日本から北陸では記録的な大雪となり、青森県酸ヶ湯で積雪が423センチになるなど、東北から北陸の山間部では2メートルを超えています(図2)。

図2 各地の積雪深(2月28日2時現在)
図2 各地の積雪深(2月28日2時現在)

 また、札幌などの都市部でも、平年より多い積雪となっており、市民生活に大きな影響がでています。

 しかし、この西高東低の冬型の気圧配置は、2月27日(日)以降は緩んでくる見込みです(図3)。

図3 予想天気図(2月28日9時の予想)
図3 予想天気図(2月28日9時の予想)

 寒気の南下は弱くなり、南風が入った27日の関東地方では4月並みの気温となり、東京では正午すぎに気温が18.5度まで上がりました。

 今年最初の15度超えですが、このまま春に向かうわけではありません。

3歩前進1歩後退

 東京の最高気温の予想を見ると、週明け以降は、27日より低くなります(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温の推移(2月28日~3月6日は気象庁、3月7日~15日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温の推移(2月28日~3月6日は気象庁、3月7日~15日はウェザーマップの予報)

 しかし、下がって平年並みです。

 平年の気温は、1月下旬の頃に比べて5度くらいあがっていますので、平年並みといっても一頃の寒さではありません。

 最低気温も同様で、平年より高い日、平年より低い日が交互に現れますが、一頃の寒さではありません。

 このまま春に向かうわけではないといっても、今週は、気温は平年並みか高めとなる傾向で、春らしい暖かさが続く予想です。

 例えれば、3歩前進1歩後退、のち2歩前進で、さくらが開花する春に向かっているともいえそうです。

 今年のさくらの開花は、東京で3月23日などと予想されています。

 去年は記録的に早い開花になったところが多かったのですが、今年は北海道で早い他は、平年並みの所が多い予想です(図5)。

図5 さくら開花前線
図5 さくら開花前線

今週末は大荒れか

 今週末にはちょっとした寒気が上空に流れ込んでくるため各地で寒の戻りとなりそうですが、その後は気温が高くなりそうです。

 ただ、このちょっとした寒気といっても、南から下層に暖気が張ってきますので、低気圧が発達する可能性があります(図6)。

図6 予想天気図(左は3月4日21時の予想、右は5日21時の予想)
図6 予想天気図(左は3月4日21時の予想、右は5日21時の予想)

 全国的に大荒れとなり、関東地方では春一番が吹く可能性もあります。

 天気は春らしい短い周期で変わり、気温差が大きい日もありますので、体調を崩さないように注意してください。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図6の出典:気象庁資料。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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