「マイナンバー制度」で収益アップする企業、収益ダウンする企業
いよいよ「マイナンバー制度」(社会保障・税番号制度)が、来年1月から運用スタートします。この個人番号は、来月10月から通知されるわけですから、まさに「いよいよ感」が漂ってきました。しかし「マイナンバー」関連のニュースで取り沙汰されるのは、運用におけるセキュリティ面が大半。そこで今回は、企業サイドにスポットライトを当て、「マイナンバー制度」がスタートして収益がアップするのはどんな企業か、反対にダウンする企業はどういうところか、を考えてみます。
まず収益がアップするであろう企業とは、どこか。おそらく多くの人がイメージできるでしょう。IT企業です。マイナンバーに対応するため、情報システムの改修は不可欠。特に自治体は顕著です。国がシステム改造費を補てんすることになっており、総額は大変なものになることでしょう。IT企業にとっては、ハード&ソフト両面において特需が期待できます。
当面「マイナンバー制度」は、社会保障と税、災害対策を念頭に運用されますが、今後は、医療、金融サービスにも適用範囲が広がる予定であり、「マイナンバー特需」は”特需”とは言い難いほど、IT関連企業に収益をもたらし続ける可能性があります。
また、IT企業は、何も「マイナンバー」に関わるシステム改修のみを狙わなくてもよいのです。「マイナンバー」の名前をカッコつけて自治体や企業に近づき、
「せっかくですから、御社のシステム全体を見直すきっかけにしませんか?」
と投げかければよい。何らかの「きっかけ」があれば営業行為のネタとなるわけですので、マイナンバー関連のシステム改修案件のみならず、このご縁を利用して、さらなる仕事の依頼を勝ち取るよう動くべきでしょう。
反対に収益がダウンする企業とは、どこか。現時点における「マイナンバー制度」導入の主旨から考えれば、”税、社会保険料の支払いで矛盾がある企業”と言えるでしょう。これはイメージしづらい人も多いかもしれませんが、社会保険料の不払い、脱税をしている企業は、一般の人が考えているよりも多いと言えます。
収益が上がらず、税金や社会保険料の支払額をごまかすケース、夜の仕事や、未熟な経営者でもやってこれた個人事業主、ベンチャー企業など、特に社会保険料を支払う意識が低いケース等が挙げられます。特に家族や個人で経営していたりする零細企業は、注意が必要です。企業や個人の取得、税金や社会保険料の受給実態が自治体や国に掌握されますので、ごまかしようがありません。
「社会保険倒産」「マイナンバー倒産」という言葉が、まことしやかに噂される時代となりました。経費、コストをダウンして収益確保に慣れた企業は、このような外部環境の変化に弱いと言えるでしょう。常に本業での儲けを意識し、攻める気持ちで経営をしていくべきですね。
最後に、会社に黙って個人で副業している人、税金や社会保険料の未払いが続く人も要注意です。2年前にさかのぼって徴収される可能性がありますから。なあなあで、妥協的管理に手を染めた企業、個人にとっては大きな打撃です。