Yahoo!ニュース

【名古屋市】小倉トースト普及委員会の委員長が手掛ける「何かを始めたい人が集まる場」喫茶はじまり

羽矢旬良ライター(名古屋市)

名古屋市北区大曽根の商店街「オズモール」と「オゾンアベニュー」では、毎年七夕祭りが開催されます。62回目となる今年は7月28日から30日までの3日間開催され、松平健さんが登場するなどしてかなり盛り上がったようです。今回は、この七夕祭りに合わせてプレオープンしたお店「喫茶はじまり」さんに伺いました。「見ての通りおもいっきり工事中です、エアコンもまだないんですよ(笑)」と店主の高野さん。工事業者が出入りする中、お店を始めた経緯や今後の展望についてお話をお聞きしました。

お店のキャッチコピーは「私とまちの物語が始まる場所」
お店のキャッチコピーは「私とまちの物語が始まる場所」

業務用パンの製造・販売を営む「株式会社永楽堂」の社員時代にコロナ禍を経験した高野さん。「これを機にお店をたたむわ」という喫茶店オーナーさんの声を目の当たりにします。「昔ながらの喫茶店のオーナーさんは高齢で、コロナ禍でお店をやめようという方が多かったですね。でも、私は古くからある名古屋の喫茶文化が大好きで、この文化を衰退させたくないという気持ちを強く持っていました。『私に何かできないかな』と、当初まったく新しい名古屋名物を作り出してみようと考えていたのですが、ある時ふと『今あるものをもっと広く普及させた方が良いのでは』という話になったんですね。そこで名古屋のモーニングには欠かせない小倉トーストに注目して『小倉トースト100変化』と称し、本来競合会社になる同業他社2社さんと一般の方たちを巻き込む形で小倉トーストのレシピを考える取り組みを始めました」(高野さん) そうして開発したレシピはインターネット上で公開されており、どのお店も自由に使うことができます。

このように、名古屋の喫茶店を盛り上げたいと立ち上がった高野さんですが、その次のステージとして「自分のお店を持って当事者として喫茶店を盛り上げる」ことを目標に行動を起こします。勤めていた会社を辞め、名古屋市中区の「喫茶七番」さんに修行に入ったのです。その中で、今度は小倉トーストの普及を通して喫茶文化をさらに盛り上げるべく、今年の2月に喫茶業界の仲間たちとともに「小倉トースト普及委員会」を発足させました。

小倉トーストを全国に普及させるには、その存在を知ってもらう必要があります。そこで、まずはスタンプラリーやクラウドファンディングを通して申請資金を集め、日本記念日協会の認定を受けて9月10日を「愛する小倉トーストの日(0910オグトー)」として名古屋の喫茶文化の啓蒙活動を行う記念日に制定しました。今年の9月10日は、「喫茶七番」さんの2階で「第一回小倉トーストまつり」が開催される予定だそうです。こうした取り組みに力を注ぎつつ、およそ1年間修行した高野さんは、今年7月に自分のお店のプレオープンにまでこぎつけました。

「もちこオグトー」こしあんと粒あんのあいがけ小倉トースト。もちもち食感のトーストとあんの相性が抜群
「もちこオグトー」こしあんと粒あんのあいがけ小倉トースト。もちもち食感のトーストとあんの相性が抜群

ドリンクの底にあんこが入った、あんこコーヒーとあんこカフェラテ
ドリンクの底にあんこが入った、あんこコーヒーとあんこカフェラテ

お店のイメージキャラクターは名古屋めし料理研究家のSwindさん作
お店のイメージキャラクターは名古屋めし料理研究家のSwindさん作

「喫茶はじまり」さんは、昼間は1階と2階のフロアで喫茶店として営業するそうですが、夜は1階のカウンターで「あんこ」をつまみにお酒が飲めます。筆者が伺った日は、アルコールの試飲会が行われており、友人や知人が訪れて、まったり楽しそうにおしゃべりしていました。

地元産のお酒を中心に使ったメニューにするそうで、日本酒カクテルなどの変わり種も提供したいそうです。

高野さんが目指すお店の姿は「まちづくりの拠点」だそうで、昔ながらの商店街にお店を構え、地元の食材を使うのもその流れであり、名古屋ならではの喫茶店の魅力を若い世代の人にも伝えていきたいとのこと。そして、新しく何かを始めたい人や、新たに名古屋に縁があって地域とつながりたい人たちなどが集い、そうした人たちが新たな価値を生み出すきっかけとなるような場にしたいとの思いも語っていただきました。これまでいくつもの思いを形にしてきた彼女なら、それを実現させる日もそう遠くはなさそうです。今後が楽しみで、近くに訪れたらフラッと立ち寄りたいと感じるお店でした。

店舗情報

店名:喫茶はじまり
住所:名古屋市北区大曽根2丁目9-57
営業時間:10:00-21:00 (ランチ 11:00-14:00)
休日:不定休
公式Instagram

関連情報

ライター(名古屋市)

名古屋生まれの名古屋育ち、現在は近郊在住。ライトなものからディープなものまで、名古屋のリアルを主観を添えてお伝えします。

羽矢旬良の最近の記事