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あなたの会社は? CDPが気候変動、水リスク、森林破壊に対応する企業を公表

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
出所:拙著『いちばんわかる企業の水リスク』、イラスト:加藤マカロン

ビジネスリスクは甚大で企業の持続性に関わる

2021年12月7日、CDP気候変動、水、森林プログラムにおける「Aリスト企業」が公表された。

参考資料「The A List 2021」(CDP)

CDPは、英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営している。

CDPは企業に対して、環境対策についての質問状を送り(2021年は世界1万2000社)、回答を採点。最低のDから最高のAまでで評価する。世界590の機関投資家がCDPの活動を支持し、ESG(環境・社会・企業統治)投資の情報として影響力を持つ。気候変動、森林減少、水不足に起因するビジネスリスクは甚大であり、企業の持続性に関わるからだ。

活動を高く評価された「Aリスト」に入った企業数は、全世界で、気候変動対策が200社、水資源が118社、森林保全が24社。

日本企業で「Aリスト」に入ったのは以下の通り。気候変動対策が55社、水資源が37社、森林保全が2社である。

CDP発表をもとに著者が作成
CDP発表をもとに著者が作成

CDP発表をもとに著者が作成
CDP発表をもとに著者が作成

CDP発表をもとに著者が作成
CDP発表をもとに著者が作成

サプライチェーン全体での環境負荷ゼロ

3プログラムすべてでAを獲得した企業は世界で14社あったが、そのうちの2社が、不二製油グループ本社、花王だった。

業種別に見ると、気候変動対策のAリスト企業は、電気機器12社、建設業7社、食料品、化学がそれぞれ5社である。水資源のAリスト企業は、食料品と電気機器が8社、化学が7社。森林保全は食料品、化学が1社である。

CO₂の排出量が多い業種は、一般的に鉄鋼、化学、パルプ・紙、食料品などとされる。鉄鋼業では東京製鐡がAリストに入っている。

水使用量の多い業種は、化学、鉄鋼、パルプ・紙などだが、サプライチェーン全体で考えると、食料品や繊維工業などは、海外に原材料生産や加工の拠点がある。数値としては表れにくい海外の水に依存することになる。

そのため具体的な企業の活動としては、サプライチェーン全体での気候変動、水資源、森林破壊などの実態を把握したのちに、環境負荷をゼロに近づけるものが多かった。

CDPは毎年評価項目の見直しを行なっており、気候変動、水不足、森林破壊がこのまま進むと、企業により厳しい対応や情報開示を迫ると考えられる。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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