なぜC・ロナウドは移籍を考えているのか?ユナイテッドの思惑とビッグイヤー獲得への渇望。
クリスティアーノ・ロナウドに、移籍の可能性が浮上している。
C・ロナウドは昨年夏にマンチェスター・ユナイテッドに復帰した。ユナイテッドが移籍金1500万ユーロ(約18億円)をユヴェントスに支払い、C・ロナウドの古巣への帰還が決定した。
■衰えない決定力
C・ロナウドは昨季、プレミアリーグで30試合に出場して18得点3アシストを記録している。シーズン終了後には、ユナイテッドの年間最優秀選手に選ばれた。
37歳を迎えているC・ロナウドだが、衰えは見られない。彼とリオネル・メッシに関しては、年齢という括(くく)りで考えてはいけないのかもしれない。
「クリスティアーノは我々との試合で再びトップレベルの選手であると証明した。クリスティアーノとメッシは、この時代のベストプレーヤーだ。かつて、ペレや(ディエゴ・)マラドーナがそうであったようにね」とはトッテナムを率いるアントニオ・コンテ監督の言葉である。
「私の見解では、クリスティアーノは決定的な選手だ。チームが必要とするときに、必ず彼が現れる。今シーズン、ユナイテッドがチャンピオンズリーグでグループ突破できたのは彼のおかげだ。そういったビッグゲームで、本領を発揮する。ファンタスティックな選手だよ。彼の年齢で、あのメンタリティー、ハングリー精神、フィジカルコンディションを維持しているというのは、称賛する他ない」
■新たな指揮官の下で
ユナイテッドは、2022−23シーズン、新たにスタートを切る。
2013年にアレックス・ファーガソン監督が去って以降、多くの指揮官がユナイテッドで指揮を執ってきた。デイビッド・モイーズ、ルイ・ファン・ハール、ジョゼ・モウリーニョ、オーレ・グンナー・スールシャール、ラルフ・ラングニック…。そして、この夏、エリック・テン・ハーグ監督が就任した。
「私はボールを保持したいと考えている。そのようにして、相手にダメージを与えられると思うからだ。ポゼッション、オフ・ザ・ボールの動き、速攻のパターン、プレッシング。全員で攻めて、全員で守る」というのが指揮官の基本コンセプトだ。
C・ロナウドを筆頭に、マーカス・ラッシュフォード、ジェイドイン・サンチョ、ブルーノ・フェルナンデスと前線にタレントは揃っている。
ただ、中盤の選手については、不足感がある。ポール・スコールズ、マイケル・キャリックといった選手がいた頃のように、ミドルゾーンを制圧するのが難しくなっている。さらに、この夏、ポール・ポグバやネマニャ・マティッチらがチームを去った。ユナイテッドがフレンキー・デ・ヨングを狙っている背景には、そういった事情がある。
だが、中盤を再構成しようとしている間に、C・ロナウドに移籍話が出てきている。
C・ロナウドは2023年夏までユナイテッドと契約を結んでいる。しかしながら、22−23シーズン、チャンピオンズリーグに出場しないユナイテッドでプレーを続けるかどうかを考えているようだ。カタール・ワールドカップまで半年を切っており、これが最後のW杯になる可能性が高いC・ロナウドとしては、少しでもコンペティションのレベルを維持しておきたいところだろう。
チェルシー、ナポリ、ローマ、ニューカッスル、スポルティング・リスボンと複数クラブがC・ロナウドに関心を寄せている。ローマ、ニューカッスルといったクラブはチャンピオンズリーグに出場しない。すると、チェルシー、ナポリ、スポルティングが選択肢になる。
年俸面では、C・ロナウドはユナイテッドで不満を抱いていないはずだ。キリアン・エムバペ、ネイマール、メッシ、モハメド・サラーに次いで、世界で5番目の高給取りである。だが19シーズン連続でチャンピオンズリーグに出場しているC・ロナウドにとって、ビッグイヤー獲得の望みは捨て切れないものなのかもしれない。