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ジエゴ・コスタが加入早々大暴れ。訪れた新陳代謝の時とシメオネの野望。

森田泰史スポーツライター
再デビューから2試合連続ゴールのジエゴ・コスタ(写真:ロイター/アフロ)

まるで、移籍などしていなかったように、すんなりとチームに溶け込んだ。アトレティコ・マドリーで「再デビュー」を果たしたジエゴ・コスタが、早速大暴れしている。

未成年選手の登録に違反があったとして、FIFAから処分を下されたアトレティコは2016年1月の移籍市場・2017年夏の移籍市場で選手登録が禁止された。ディエゴ・シメオネ監督は血の入れ替えを行えないまま新たなシーズンに臨んだ。

■ついに到着したグリエズマンの相棒

だがアトレティコはFIFAの処分を前に、手を拱いていたわけではない。今夏チェルシーからジエゴ・コスタを、セビージャからビトロを獲得した。

アトレティコは今季レンタル契約という形でジエゴ・コスタを獲得。レンタル料500万ユーロ(約6億円)を支払った後、次の夏に5000万ユーロ(約67億円)を支払って買い取るものとみられている。またビトロに関しては契約解除金3750万ユーロ(約50億円)を支払い、即座にラス・パルマスに半年契約でレンタル放出した。

ジエゴ・コスタとアントワーヌ・グリエズマンの化学反応に、アトレティコスは期待を寄せる。「ジエゴとグリエズマンのコンビを実現させるため、我々は多大な労力を払った」。アトレティコの関係者は口を揃える。

■不安視されたコンディション

6月11日にスペイン代表として臨んだマケドニア代表との試合を最後に、ジエゴ・コスタは実戦から遠ざかっていた。

だが「プロフェ・オルテガ」の愛称で親しまれるフィジカルコーチのオスカール・オルテガ氏の下で3カ月間みっちりトレーニングを積み、夏のバケーション直後に比べて、体重を10キロ近く落とした。

その効果はすぐに現れた。コパ・デル・レイ5回戦第1戦ジェイダ戦で途中出場したジエゴ・コスタは、復帰戦となった試合でいきなりゴール。続くリーガエスパニョーラ第18節ヘタフェ戦でも得点を挙げ、2試合連続得点を記録した。

喜び過ぎてスタンドまで走り寄り、退場になるというオマケまでつけたジエゴ・コスタだが、コンディションの問題はなさそうである。

■CL敗退という予期せぬ結果

アトレティコはジエゴ・コスタが得点した試合で、恐るべき勝率を誇っている。53試合50勝で、その勝率は94%だ。「ジエゴは対戦相手に恐怖を伝播させる」とシメオネ監督が認めるように、スペイン人ストライカーの影響力は絶大である。

だが今季開幕前に新陳代謝が行えなかった代償は高くついた。チャンピオンズリーグではグループステージ敗退に追い込まれ、残された大会は今季無敗のバルセロナが首位を独走するリーガと、ベスト16に進出しているコパのみだ。

「試合から試合へ」

シメオネ監督はその姿勢を崩そうとはしない。

ジエゴ・コスタ加入を歓迎しながらも、指揮官に浮足立つ様子はない。強靭なプレー強度、欧州屈指の盾と称される守備力に、ジエゴ・コスタという「戦闘機」が加わった。

アトレティコは虎視眈々とタイトルを狙っている。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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