「東京オリンピック開会式の予算は165億円」はミスリード。実際はオリ・パラ開閉会式の4回分
7月23日に行われた「東京オリンピック開会式の制作費が165億円(もかかっているのひどい)」として批判するコメントやツイートが拡散していますが、その情報はミスリードです。
たしかに165億円分の予算が上限として用意されていますが、それは東京オリンピック・パラリンピックの両開会式、閉会式あわせてであり、合計4回分です。
また、上記の記事にもありますが上限として165億円の金額が準備されたものであり、実際にどれくらいかかったのかはいまのところ確認できる報道はありません。
デーブ・スペクター氏や町山智浩氏がメディアで拡散
残念なのは、この「開会式に165億円かかった」という誤った情報が、Twitterだけではなくマスメディアでも発信されてしまっていることです。
たとえばタレントのデーブ・スペクター氏は、7月25日放送のTBS『サンデージャポン』で165億円の予算を取り上げて開会式を批判しています。
デーブ・スペクター氏はTwitterでも165億円のことをネタにしており、多数の人がミスリードされた情報を受け取ったと思われます。
また、映画評論家の町山智浩氏も7月27日放送のTBSラジオ『たまむすび』で、同じく開会式の予算が165億円であるかのように発言しています。
上記ブログは第三者による書き起こしですが、町山氏ご本人がTwitterで取り上げており、同じく「開会式に165億円かかった」という内容で拡散してしまっています。
「東京五輪の開会式を批判するな」という主張ではない
こうした指摘記事を書くと、「組織委からいくら貰ってるんだ?」的な批判が届くことがありますが、筆者は五輪関係者からお金を受け取っていませんし、五輪の開会式を批判するなとも言いません。
たしかに165億円は予算上限ではあるものの、これまで予定されていた130億円から35億円も上積みされたというのは「130億円では足りなかった」ことを意味します。
また、一般的に考えると165億円は開閉会式で4等分されて使われるのではなく、開幕の東京オリンピック開会式が一番お金をかけられているのではないかとも思われます(これは明日8月8日に行われる東京オリンピック閉会式を見ればある程度は判断できそうです)。
さらに文春の報道によると、開会式の執行責任者をMIKIKO氏から佐々木宏氏に交代したことで数億円がムダになったともあります。
こうしたことを考えると、今後の検証は重要です。
ただしそれを求める理由が「開会式があの内容で165億円はひどい!」だと、「165億円はオリパラ開閉会式の4回分なんですよ~」でかわされてしまいかねません。
繰り返しますが、東京五輪の開会式を批判するなとは言いません。ただし、批判をするなら正しい情報をもとに行わないと、それは批判ではなくただの扇動になってしまいます。