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【富田林市】あの伊藤若冲の絵が西陣美術織に!すばるホール3F展示室で14日まで作品展示会を開催中

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林を含む南河内地域は、楠木正成をはじめとする南朝の文化が色濃く残っています。その南朝は、足利義満の時代に北朝と統合して終わったことになっています。しかし、実際には一部の抵抗勢力が応仁の乱のころまであったそうで、それは後南朝(こうなんちょう)と呼ばれる存在です。

そんな後南朝も、応仁の乱に西軍の山名氏が擁立した西陣南帝(にしじんのなんてい)という存在を最後に、歴史から消滅します。

西陣エリアの近くにある北野天満宮
西陣エリアの近くにある北野天満宮

西陣南帝のことはほとんど情報もなく不明な存在ですが、西軍の陣があった西陣という言葉は、その場所で栄えた西陣織として現在もその名を残しています。

そんな西陣織の技術を使った美術織の展覧会が、すばるホール3階で14日まで開催中です。それも江戸時代、京都の錦市場で活躍し絵師としても有名な伊藤若沖(いとう じゃくちゅう)の作品を西陣織として再現した作品が無料で見られるというのです。

ということで、先日さっそくすばるホールまで見に行ってきました。

京都錦市場にある伊藤若沖の生家跡
京都錦市場にある伊藤若沖の生家跡

伊藤若沖についておさらいすると、1716(正徳6)年から1800(寛政12)年まで生きた江戸時代の画家で、錦小路(錦市場)にあった「枡屋」という青物問屋(青果物卸業)を営んでいました。40歳の時に3歳下の弟に家督を譲ってからは隠居の身となり、絵師として作画の活動を中心とします。

錦市場のいろんなところに描かれている伊藤若沖の絵
錦市場のいろんなところに描かれている伊藤若沖の絵

また絵師として作画を行いながらも町年寄に就任するなど、錦市場での活動に関わっていました。その時に起こった錦市場閉鎖の危機に瀕した時も、若沖がいろんな人と掛け合って交渉し、閉鎖を阻止したという記録も残っています。

京都錦市場
京都錦市場

若沖の研究は大正の終わりごろから始まり、1970年代以降に再評価され、21世紀になってからは人気に火が付きました。若沖の作品は、画像の錦市場のシャッターにも描かれています。

さて、展示会は3階にあります。念のために書きますが、すばるホールの正面入口で、大ホールや小ホールがあるのは2階です。その為エスカレーターで1階分上がれば行けます。

3階に上がれば西洋美術檻「伊藤若沖」動植綵絵(どうしょくさいえ)の看板があります。展示会の主催は西陣美術織全国巡回展実行委員会です。

チラシの裏です織物づくりそのものは5世紀の頃には始まっており、長い歴史をかけて確立された技術であることがわかります。

若沖の代表作品がずらりと展示されています。

こちらが入り口です。

生誕300年が経過した奇想の絵師の作品を、呼称が始まってから550年が経過し国の伝統工芸品に指定された伝統技術の織物として作品にした展示会です。中に入ってみましょう。

さて入口に入ると、ルーペと織物が置いてあります。担当者の株式会社京都企画会議の担当の方に「これを見てください」と言われてみると、遠くからは絵にしか見えないのに、ルーペで眺めるときめ細かく織られていることがわかりました。

中の様子です。本来は撮影禁止ですが、今回は取材ということで特別に許可を得て遠巻きに撮影させていただきました。

西陣織の歴史を確認すると、江戸時代に中期以降に出された奢侈(しゃし)禁止令や江戸時代以降に出てきた京友禅やほかの織物の影響で苦戦した時期もありました。しかし、明治時代に入ると、先進技術の導入ために西洋に留学し、ジャガード織物などの技術を取り入れたことで西陣織の近代化に成功したそうです。

担当の方によれば近年は和服を着る機会も減るなどの理由から西陣織の需要が下がったこともあり、このままでは職人さんたちの技術伝道のためによくないと、西陣美術織として作品を作るようになったそうです。

そのため、当時人気が復活していた300年前の絵師、伊藤若沖の作品を織ることにしました。そうして7年前に初めて京都で展示会を開いてから、毎年全国各地を定期的に回っているそうです。

場所によっては有料の所もあるそうですが、すばるホールは無料で公開中です。また気に入った作品があれば予約購入もできることから、ギャラリーとしての性格が強い展示会です。

展示会場では、ひとつひとつの作品に詳しい説明がついています。1例を撮影させていただきました。

今回の会場では、伊藤若沖以外の作品も展示していました。

ちなみに西陣美術織は、1作品当たり15,000本の糸を使ったジャガード織りで織り上げているそうです。

本来は着物の織物の技術であった西陣織も、美術織という新しい考えで、技術のすばらしさを後世に伝えたいという思いが、今回の作品を通じて強く伝わりました。

西陣美術織 伊藤若沖展(すばるホール3階展示室)

住所:大阪府富田林市桜ケ丘町2−8

開催日:4月14日日曜日まで

時間:10:00~17:00(最終日14日は16:00まで)

入場料:無料

問い合わせ:075-548-7505(西陣美術織全国巡回展実行委員会)

アクセス:近鉄川西駅から徒歩8分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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