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「今が一番」。「マルセイユ」が噛みしめる今と見据える今後

中西正男芸能記者
「マルセイユ」の別府貴之さん(左)と津田康平さん

昨年、拠点を大阪から東京に移したお笑いコンビ「マルセイユ」。ツッコミの津田康平さん(35)、ボケの別府貴之さん(40)ともに東京に来た意味を噛みしめています。そこで再確認した自分たちの形。そして、見据える今後とは。

東京に来て見えたもの

津田:去年東京に来たんですけど、現時点でいうと、大阪時代と仕事量は同じくらいになってきました。

別府:新しいお仕事もいただいているし、変わらず劇場にも出していただいているし、本当にありがたい流れだと思っています。

津田:東京に来て新しい何かが始まる。大阪の時とは違う形になる。そんなイメージもあったんですけど、意外だったのが「東京に来て、大阪時代のことをこんなに評価してもらえるんだ」ということでした。

東京に来たらゼロになってしまう。また東京で一から積み重ねをしていかないといけない。そう思っていましたし、実際にその部分も大きいんですけど、予想以上に大阪時代の“貯金”を「面白い」と言っていただくことが多くて。

東京という新しい場に来たからこそ、会う方々は僕らがやってきたことをニュートラルに、新鮮に見てくださる。僕らからすると「大阪時代のことだから」と倉庫に置いていたようなネタを「これはすごいですよ!」と言ってもらえる。

自分たちが武器にすべきところを、新たな土地に教えてもらっている。その感覚が強いですね。

新しいところに来たから、これまでなかった武器を作るというよりも、もともと持っていたものの攻撃力をさらに高める。そちらが正解なのかなと改めて感じています。

見据える今後

別府:ネタでもそうですし、僕の場合は自分のキャラクターという部分でもその意味を感じています。

僕としては、自分が空気を作るというか、人をいじったりするのをやろうと思っていたところが大阪ではあったんですけど、東京に来て「スベるのも面白さ」だと思えるようになってきました。

自分が何かを言って、しっかりと狙って笑いを作る。それをやりたい自分がいました。でも、東京に来て先輩方から「どんな形になっても、こちらが面白くするし、その結果、ウケたらいい」と言ってもらいまして。

正直、最初はその構図に不安もありました。ただ、実際にこちらが笑い的にはコケてしまっても、周りの方がその状況を使って笑いを作ってくれる。そして、お客さんにウケる。その流れが本当に起こることを体感して、徐々に「これもアリなんだ」と思えるようになってきたんです。

津田:東京に来て変なプライドを持たなくなった。相方の僕から見ても、それはあると思います。

ここ数年、大阪時代からずっと「お前は変なヤツやねんで」と言ってきたんです。ただ、それは相方からの言葉なので、そこまで染みわたってなかったのかもしれませ。だけど、東京に来て会う人、会う人からそう言われる。その中で変わっていったんだと思います。

別府:バランスが難しいんですけど、基本的にトーク部分ではなるべく考えないように。そのスタンスで現場にいることを心掛けています。

その結果、ナチュラルに失敗する。それはそれで、実は悪いことではないんだと。ただ、わざとコケにかかるとダメ。そこも痛感しています。

ま、まるっきり何も考えていないわけではないんですけど(笑)、周りの方々に助けていただく。そのありがたさを噛みしめています。

津田:なので、今、コンビとしても、それぞれのキャラクターとしても、自分たちとしては一番良い状態なのかなと思っています。

それを証明するためには「М-1」とか賞レースでしっかりと結果を出すしかないんですけどね。まずは。

先のことまであれこれ言うのもおこがましいですけど、理想としては「中川家」さんみたいに、劇場に出てくるだけで期待感に満ちた大きな拍手が起こる。そんな漫才師をこえた“大漫才師”みたいな存在になる。そこを目指したいと思っています。

そのためには賞レース。そして、メディアで活躍することも必要なんですけど、それらはあくまでも“大漫才師”になるために通るもの。最後に見据えているのは“大漫才師”なんです。

もちろん、ものすごく難しいことなんですけど、だからこそ目指す。いつか、その領域にたどり着けるよう、積み重ねていきたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■マルセイユ

1989年3月21日生まれで大阪府出身の津田康平と83年9月23日生まれで宮崎県出身の別府貴之がそれぞれ別のコンビを経て2013年に結成。MBSラジオ演芸「ヤングスネーク杯」優勝。「ABCお笑いグランプリ」準優勝。「にちようチャップリン お笑い王決定戦」優勝。8月24日には単独ライブ「Marseillaise」を東京・ヨシモト∞ホールを開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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