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初出演作品がいきなりカンヌ国際映画祭へ。規格外の13歳、中西希亜良が見据える今後

中西正男芸能記者
初主演映画「ぼくのお日さま」が第77回カンヌ国際映画祭で注目された中西希亜良さん

 映画「ぼくのお日さま」(9月13日公開、奥山大史監督)で演技に初挑戦した中西希亜良さん(13)。同作は今年5月の第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門へ正式出品され、現在開催中のトロント国際映画祭にも出品されるなどデビュー作がいきなり国際的に注目される形となりました。一躍、各所からのオファーが殺到する存在となりましたが、その中で感じる自らの変化。そして、見据える未来とは。

あふれ出る涙

 お芝居をさせてもらうのは今回が初めてだったんです。

 芸能のお仕事を強く目指していたということではなかったんですけど、4歳からずっとフィギュアスケートをやってきていて。今回の作品がスケートを題材にしていたこともあって、スケートの先生からオーディションを受けることを勧められて、出演させてもらうことになりました。

 スケートはやっていて本当に楽しいし、全日本の大会にも出場できるくらいにはやっていたんですけど、お芝居は何も分からない。何が分からないのかも分からない。そんな中で、撮影現場に行きました。

 何も分からない中なんですけど、それでもとにかく心に響いたのが皆さんが一つになって、作ってらっしゃるというところでした。

 いろいろなプロの方々が協力して、一つのシーンを作り上げる。もちろん、そのイ メージは持っていたのですが、想像をもっともっと超えるくらいのパワーが現場にはありました。何も分からなくても、純粋に「すごい」と思ったんです。

 ただ、私自身は経験もないので、撮影に入ってもすぐカメラ目線になってしまう。直すように言われても、一回気になると逆にそっちを見てしまって。

 あと、撮り終わった後に「さっきのシーン、もうちょっとこんな感じにしようか」と言われたりもするんですけど、どうしたら変えられるのかが分からない。変えていたつもりでも変わっていない。

 あと、普段の自分だったら絶対に言わない。やらない。そんなことも役の中ではやる。そこも難しかったです。

 どれだけ考えても分からない。初めての思いもたくさん経験しました。

 でも、撮影の最終日、全部のシーンを撮り終えた時に、自然と涙が出てきました。号泣といってもいいくらい、泣きました。

 なぜ泣いたのか。今でもハッキリとは分からないんですけど、それだけたくさんのことを感じて、たくさんのことを考えた時間だったんだろうなとは思いました。

映画「ぼくのお日さま」のシーン(この写真のみ所属事務所提供)
映画「ぼくのお日さま」のシーン(この写真のみ所属事務所提供)

新しい自分との出会い

 さらに、作品がフランスのカンヌ国際映画祭で上映されたということも、本当に幸せなことだと思っています。

 現地での上映会に私も行かせてもらったんですけど、映画が終わるとスタンディングオベーションが長く続いて、皆さんが温かい表情を見せてくださいました。ここでも、涙があふれてきました。これもうまく説明はできないんですけど、自分が出ているものにこれだけの方が拍手をしてくださっている。普段の生活ではない状況に、心が反応したのかなと感じました。

 まだ始まったばかりなんですけど、いっぱいお芝居をして、たくさんの人に見てもらって、皆さんがいろいろなことを感じてくださる。その貴重さは感じたので、またこういう場があるように、頑張りたいと思っています。

 具体的な目標というか、以前から中条あやみさんみたいな方になれたらと思っていて。たまたま同じ事務所ということもあって、実はこの前、中条さんが出演されるイベントにお邪魔してごあいさつに行かせてもらったんです。

 ステージ裏でお会いした瞬間、ここでも泣いてしまいまして。ここの涙は分かりやすく、うれしすぎての涙でした。

 実際にお会いすると、本当に輝いていました。そして、泣いている私に「大丈夫?」とやさしく声を変えていただいて。一緒に写真も撮ってもらったんですけど、しんどいことがあるたびに写真を見て、心を元気にしています。

 中条さんみたいにポジティブな空気を持つこと。常に人とポジティブに接すること。それも実際にお会いして学んだことだと考えています。

 知らない人とあまりしゃべれないとか、物事をネガティブに考えることも私は多いので、もう少し心を開くこともできる人間になれたらなと思います。

 そんな意識が作用しているのか、細かいことですけど、最近食べ物の好き嫌いが減ってきたんです。

 現場のお弁当を残してはいけないというのもあるのかもしれませんけど、今まであまり食べなかったものにも挑戦してみる。そうすると、意外と自分に合うこともある。そうやって広く意識を持とうとすることも大切なのかなと。

 本当に、まだまだ始まったばかりなんですけど、海外のお仕事もできたらなとは考えています。お父さんがフランスの人なのでフランス語がしゃべれるのと、インターナショナルスクールに通ってきたので英語は話せます。少しですけど、韓国語もしゃべれますし、いろいろな言葉を話せることを生かして、お仕事ができたら、それもとてもうれしいことだなと思いますね。

 そういうことができるよう頑張っていきたいんですけど、このお仕事をさせてもらうようになって、夜に甘いものとかはあまり食べないようになりました。たくさん運動もしているので制限というほどでもないんですけど、少し我慢しています。もし、何も考えず何でも食べていいなら、そうですね、甘いお菓子をたくさん食べてみたいです(笑)。

(撮影・中西正男)

■中西希亜良(なかにし・きあら)

2011年6月16日生まれ。東京都出身。テンカラット所属。フィギュアスケートは4歳から始め、シングルと並行して、アイスダンスでは全日本フィギュアスケートノービス選手権大会に出場経験もある。初の出演映画「ぼくのお日さま」(9月13日公開、奥山大史監督)が第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品された日本語に加え、英語、フランス語、韓国語を話すマルチリンガル。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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