シンガポールで性的暴行の日本人男性に「むち打ち刑」確定 今後どうなる? #専門家のまとめ
シンガポールで女子大生に性的暴行を加えたとして逮捕・起訴され、17年6カ月の禁錮刑と20回のむち打ち刑を言い渡された38歳の日本人男性の有罪が確定しました。ことし7月の一審判決に対し、男性が上訴しなかったためです。シンガポールで日本人にむち打ち刑が科されるのは初めてとなります。今後どうなるのか、参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
この事件を受け、ネット上では日本でも性犯罪者にむち打ち刑を科すべきだと考える人が多いようです。確かにわが国も過去には窃盗犯などに対するむち打ち刑を採用していた歴史があります。しかし、いまの憲法は「残虐な刑罰」を禁止しています。最高裁の判例によると「不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰」を意味するので、現在ではNGということになるでしょう。
むしろ注目されるのは、今回の男性が17年6カ月の禁錮刑にも処されているという点です。日本で同じ犯罪に及んだ場合、不同意性交罪や不同意性交致傷罪に問われるとしても、そこまで長期の刑罰に処されることはありません。
例えば米国では、有罪になった犯罪ごとに刑を決め、単純に合算するシステムである上、「ワンストライクアウト法」や児童への性虐待を対象とした「ジェシカ法」といった特別な法律を制定している州もあり、これらと組み合わせることで、少女4人に対する性的暴行に問われた男に対し、275年半の拘禁刑が言い渡された例もあります。性犯罪を厳罰化するためには、端的に法定刑を重くする法改正が不可欠でしょう。(了)