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【NHL】史上最高のプレーオフを見たい人はカナダで唯一勝ち残っているウィニペグを応援してはいけない?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
得点ランキングで2位となったパトリック・ライネ(Courtesy:@NHL)

 先月11日からスタートした今季のNHLのプレーオフは、カンファレンス ファイナル(CF=3rdラウンド)の幕開けが近づいてきました。

 明日(現地時間)ウエスタンに先駆けて、イースタンの第1戦が行われます。

▼ロシア人選手がカギを握る

 イースタンのCFのマッチアップは、タンパベイ ライトニング vs ワシントン キャピタルズ

 タンパベイには、レギュラーシーズンでリーグ3位の100ポイント(39ゴール+61アシスト)をマークした ニキタ・クチェロフ(FW・24歳)や、最多タイの44勝を記録した アンドレイ・バシリエフスキ(GK・23歳)

 対するワシントンでも、7度目のモーリス リチャード トロフィー(最多得点賞)に輝いた アレックス・オベチキン(FW・32歳)や、3連覇を目指すピッツバーグ ペンギンズに引導を渡すサヨナラゴールを決めた エフゲニ・クズネツォフ(FW・25歳)というように、ロシア人プレーヤーがチームの柱を担っているだけに、シリーズのカギを握る存在になりそうです。

▼ワシントンファンに ”アウェイの洗礼!”

 両チームのシリーズは、レギュラーシーズンのポイント(勝点)で上回るタンパベイが、第1戦と第2戦。さらに、シリーズがもつれた際には、第5戦、最終戦(第7戦)と、最大4試合のホームアドバンテージを有し、アマリーアリーナ(ホームゲームの試合会場)で戦うことができます。

 タンパベイは、ホームアドバンテージを氷上での戦い以外にも活用し、アマリーアリーナで開催される試合のチケットに関して、

「(ホームタウンがある)フロリダ州以外の住民の注文は、予告なく払い戻しになることがある」

宣言したのに加えて、

(ワシントンのチームカラーの)「赤色の服装やアイテムを持っての入場は制限されることがある」

とも発表し、ホームアドバンテージを高めようと目ろんでいる模様

 タンパベイは、赤がチームカラーのモントリオール カナディアンズと対したプレーオフでも、同様の ”ドレスコード” を設けたことがありましたが、果たして効果はあるのでしょうか?

▼ウエスタンは3勝3敗で最終戦へ!

 一方のウエスタンは、勢いに乗って勝ち進んでいるベガス ゴールデンナイツが、既にCF進出を決めました。

 対して、もう一つのシリーズの 「ナッシュビル プレデターズ vs ウィニペグ ジェッツ」は、ここまで3勝3敗。

 CF進出最後の一枚のチケットを懸け、ナッシュビルにあるブリヂストンアリーナで、今夜の最終戦へ臨みます。

▼カナダ勢25年ぶりのスタンレーカップを狙う!

 カナダにホームタウンを置く7チームの中で、唯一勝ち残っているのが、ウィニペグ ジェッツ

 オベチキンに次ぐ44得点を記録し、2年目のジンクスを感じさせない働きを披露した パトリック・ライネ(FW・20歳/タイトル写真)を筆頭とする高い攻撃力を武器に、今季は「カナダ最強チーム」と称される強さを発揮!

 1993年のモントリオール カナディアンズ以来、遠ざかってしまっている「ホッケー大国にスタンレーカップが帰ってくる!」という25年ぶりのストーリーを、カナダのファンが待ち望んでいます。

▼ウィニペグを応援してはいけない?

 日本のスポーツファンの方の中にも、カナダのチームが王座に輝くシーンを見たい! と思っていらっしゃる人は少なくないでしょうが、、、

「史上最高のプレーオフを見たい人は、ウィニペグを応援してはいけない」

と言える事実を、皆さんはご存じでしょうか?

▼史上最高の戦いが見られる!?

 まず、既にCFに勝ち上がったチームのレギュラーシーズンでの成績を、おさらいすると、、、

★ タンパベイ → アトランティック ディビジョン優勝

★ ワシントン → メトロポリタン ディビジョン優勝

★ ベガス → パシフィック ディビジョン優勝

 このように、4つのディビジョン優勝チームのうち、3チームが勝ち上がっています。

 続いて、今夜最終決戦に臨む両チームの成績も、おさらいすると、、、

★ ナッシュビル → セントラル ディビジョン優勝

▼ ウィニペグ → セントラル ディビジョン2位

 このように、もしナッシュビルがCFに勝ち上がると、

「4チームが全てディビジョンチャンピオン」

となり、1967-68シーズンに、加盟チームが「6チーム」から「12チーム」へ倍増したのを機に、ディビジョン制が採用されて以来、

「史上初めてディビジョン チャンピオンだけが勝ち進んで行われる4強のバトル」

となるのです!

▼カナダ勢の優勝か? 史上最高のプレーオフか?

 ちなみに、これは1997-98シーズンから、2012-13シーズンまでの間、6つのディビジョン制だった(=ディビジョン チャンピオンが6チーム存在した)際も、一度として見られませんでした。

 それだけに、実力を兼ね備えたディビジョン優勝チームが全て揃う「史上最高のプレーオフを見てみたい!」 と言うスポーツファンの方は、「カナダの最後の砦となったウィニペグを、応援してはいけない」ようです。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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