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【NHL】トロントでも!モントリオールでも!エドモントンでもない!!今季のカナダ最強チームはどこだ?

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ホッケー大国カナダのファンを勝利で沸かせているのはどのチーム?(写真:ロイター/アフロ)

 10月4日(現地時間)に開幕した今季のNHLのレギュラーシーズンは、昨夜の試合をもって2017年の全日程を終了。

 1271試合の半分弱にあたる599試合を戦い終えて、新しい年を迎えました。

▼新生ベガスがウエスタンのトップ!

 ここまでの戦いで特筆されるのは、ベガスゴールデンナイツの躍進!

 今季からNHLに加盟したばかりの新生チームながら、ここまでの順位は、「ウエスタンカンファレンス(全15チーム)のトップ!」

 NHL全体でも、タンパベイライトニングに次いで31チーム中「2位」という好成績を残して、2018年を迎えました。

▼ベガス躍進の要因は?

 ベガスの躍進には、二つの要因が挙げられます。

 まず一つ目は「攻撃力」

 ここまでの総得点は、ウエスタンで「第2位」

 総得点から総失点を引いた得失点差はプラス26で、リーグ全体でタンパベイに続く「2位」の好成績を残しています。

 そして、もう一つは「ホームアドバンテージ」

 地元での初戦の熱狂的な盛り上がりを皮切りに、Tモバイルアリーナでのホームゲームは、ここまで19試合を戦って「16勝3敗」

 3敗のうち1試合は、シュートアウト(サッカーのPK戦に相当)での敗戦のため、勝点1ポイントを上積みしていることから、ホームゲームでポイントを手にできなかった試合は、全31チーム中で最少の「2試合だけ」と、ホームアリーナで圧倒的な強さを発揮。

 ホームアドバンテージを武器にして、新生チームとしては「50季ぶり」となるプレーオフ進出を狙います。

▼25季ぶりのスタンレーカップ奪還なるか!?

 ベガスのような新生チームが躍進を続ける一方で、忘れてはならないのがカナダ勢の戦いぶり。

 というのも、カナダのチームがスタンレーカップ(NHLの優勝トロフィー)を手にしたのは、1993年のモントリオールカナディアンズが最後。

 一昨季には、カナダにホームタウンを置く7チームが、揃いも揃ってレギュラーシーズンで敗れるという「46季ぶりの屈辱」を味わったホッケー大国のファンにとって、25季ぶりのスタンレーカップ奪還への意気込みは、強まるばかりです。

▼プレーオフ圏内での年越しは2チームだけ

 しかしながら、2017年の全日程を戦い終えて、プレーオフ圏内の順位をキープしているカナダのチームは、トロントメイプルリーフスウィニペグジェッツの2チームだけ。

 昨季のハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)のコナー・マクデイビッド(20歳・FW)を擁するエドモントンオイラーズや、昨季のカンファレンスファイナル(プレーオフ3rdラウンド)の最終戦まで粘り強く戦ったオタワセネターズに、NHL最多優勝回数を誇るモントリオールは、いずれもプレーオフ進出圏外と低迷し、新年を迎えることに・・・。

 さらに、プレーオフ圏内ながらも、トロントはアトランティックディビジョン3位の成績で、プレーオフ圏外のチームの中で最上位(9位)のカロライナハリケーンズとは、わずか「5ポイント差」(1勝で2ポイント)。

 その上、試合消化は2試合も多いとあって、安穏とはしていられないのが現状です。

▼新生・ウィニペグジェッツ

 このような状況の中で注目されるカナダのチームが、ウィニペグジェッツ

 1979年からNHLに参戦していた(旧)ウィニペグジェッツが、1996年の春にフェニックスに移転(現アリゾナコヨーテス)して以来、NHLの試合が見られなくなってしまったマニトバ州(カナダ)の州都のウィニペグでは、年を追うごとに「もう一度NHLチームを!」との気運が高まっていきました。

 その気運を受けて、アトランタスラッシャーズの経営権を買収したウィニペグのトゥルーノーススポーツ&エンターテイメント社が、チームの移転手続きを進め、ついに2011年6月に、NHLに加盟したのが、現在の(新生)ウィニペグジェッツです!

▼今季のカナダ最強チームはどこだ?

 マニトバ州の州都と言っても、トロントやモントリオールに、西部の都市ではバンクーバーなどに比べると、市場規模は小さいため、大型補強もままなりません。

 しかしながら、今季のウィニペグは総得点がウエスタンカンファレンスでトップと、オフェンスの力強さを武器に白星を積み重ね、ヘガスに続くウエスタン2位の好成績で、2017年の戦いを終え、前述したトロントとともに、カナダでは2チームだけの「プレーオフ進出圏内の順位での年越し」を迎えました。

 この2チームの戦績を見ると、どちらも40試合を戦っていますが、ウィニペグのほうが勝点で4ポイント(2勝に相当)上回っているのに加え、セントラルディビジョンのトップ(ディビジョントップのチームはプレーオフに進んだ際のランキングが高い)と、好成績を残して年内の戦いを終えています。

▼コスパの良さもウィニペグに軍配

 そして何より見逃せないのが、両チームの「サラリーキャップ(チーム年俸総額制限)の猶予額」

 トロントはサラリーキャップの猶予は「ゼロ」(負傷者リスト掲載中の選手を除く)

 つまり戦力アップを目ろんでトレードを画策しても、(基本的には)自チームが放出する選手よりも、サラリーが同額か、もしくは低い選手を獲得せざるを得ないとあって、戦力アップにつなげるのは容易ではなく、GMの目利きが問われることに。

 対するウィニペグは、およそ620万USドル(およそ7億円)ほどの猶予があり、さらなる戦力アップを目ろんで、大物選手獲得の可能性も十分考えられます。

 このような現状を見ると、今季のカナダ最強チームは「ウィニペグジェッツ」となりそうな気配が漂います。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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