インドのサイクロンと日本の冬
10月-11月はサイクロンシーズン
10月12日、インド東部にサイクロン”フッドフッド(HUDHUD)”が上陸しました。上陸時の勢力は非常に強く、台風が上陸した港湾都市ヴィシャカパトナム(Visakhapatnam)では50メートルを超える暴風が吹き荒れ、高波によって港湾施設が破壊されたり、バスが横転するなど大きな被害がありました。
実はこのサイクロン、ネパールで多数の海外旅行者を巻き込んだ遭難事故を引き起こしたため、日本でも大きなニュースとなり、覚えていらっしゃる方もいるでしょう。
サイクロンがインド東部に上陸したあと、13日から14日にかけてネパールでは激しい大雨に見舞われ、多くの登山客が巻き込まれました。ちょうど、10月ー11月はヒマラヤ登山シーズンとサイクロンシーズンが重なるため、遭難事故が起こりやすいと言えます。
一方で、10月下旬にはアラビア海で別の熱帯低気圧が発生し、今度はインド西部(クジャラート州)で大雨になりました。アラビア海で熱帯低気圧?とはあまり聞きなれないので、調べてみることに。
インドを挟んで、東側がベンガル湾、西側がアラビア海で、この海域で発生する熱帯低気圧をサイクロンと呼びます。
サイクロンの発生数をみてみると、1891年ー2007年までの116年間で、ベンガル湾が517個に対して、アラビア海では103個と大きな違いがあることに気がつきました。
5倍もの違いがどうして起こるのか、勉強が足りず、今のところよくわかりません。
一年間では、平均してベンガル湾で約5個、アラビア海では約1個程度と、日本の台風と比べるとその差は歴然です。また、アメリカのハリケーン(大西洋)も一年間に平均で12個くらいですから、逆の見方をすれば、日本は世界で最も熱帯低気圧の影響を受ける場所とも言えます。
インドのサイクロンと日本の冬
インドは日本から遠く離れた場所ですが、日本の天候を考える上でとても重要な場所です。先のアラビア海で発生した熱帯低気圧の影響では、アジア上空を流れる偏西風が影響を受けて、日本付近に寒気が流れ込みにくくなってしまったのです。
そのため、11月の気温は全国的に平年より高めの予想となりました。もちろん、原因は熱帯低気圧のせいばかりではありませんが、インドのサイクロンが間接的にも日本の天気に関係していることがわかると興味が湧きませんか?
この時間も、世界ではいろいろな気象現象が起こっています。一つ一つは遠く離れていても、お互いに関係しあっているのならば、それを見つけ出す楽しみがあります。
【参考資料】
インド気象庁(India Meteorological Department)
Very Severe Cyclonic Storm, HUDHUD over the Bay of Bengal (07-14 October 2014): A Report