イチローのマリナーズ復帰で思い出される、グリフィー復帰の結末
シアトル・マリナーズからメジャーデビューして輝かしいキャリアを築き、選手生活の晩年にマリナーズへ戻ってきて、ユニフォームを脱いだ後はマリナーズの選手として殿堂へ。
イチローがたどりつつある道は、ケン・グリフィーJr.とよく似ている。グリフィーは1989年から1999年までマリナーズでプレーし、シンシナティ・レッズとシカゴ・ホワイトソックスを経て、2009年にマリナーズへ復帰した。イチローもマリナーズを去ってから、2チームでプレーした。
グリフィーもイチローも、マリナーズ時代にゴールドグラブを10度受賞し、オールスター・ゲームに10度選ばれた。グリフィーは1997年、イチローは2001年にMVPも受賞した。マリナーズでMVPを手にした選手は、この2人以外にいない。グリフィーの背番号「24」と同じく、イチロー(とランディ・ジョンソン)の「51」も永久欠番になるだろう。グリフィー(とランディ)が果たした資格初年度の殿堂入りも、まず間違いない。
ただ、グリフィーのマリナーズ復帰は、後味の悪い結末となった。
復帰1年目は前年より1本多い19本塁打を放ったものの、翌年は開幕から快音を響かせることなく、5月10日にはタコマ・ニューズ・トリビューンのラリー・ラルーにより、試合中にクラブハウスで居眠りをしていたと報じられた。真偽は不明ながら、記事によると、匿名のチームメイトがそう証言しており、グリフィーが寝ていたため、監督は代打に起用できなかったという。
6月2日、グリフィーはキャリアに終止符を打った。この日は本拠地のセーフコ・フィールドで試合が行われたが、グリフィーは出場せず、会見も開かれなかった。球団を通して、引退声明だけが発表された。結局、前年のシーズン最終戦の前日に打った通算630号が、最後のホームランとなった。
イチローに限らず、どの選手でもそうだが、グリフィーのような最後は迎えてほしくない。