J1リーグの”ラスト10”で輝く、注目の夏補強イレブン
J1リーグも夏の移籍期間が閉じ、残すところ10節となっています。悪天候による中止など、一部で未消化の試合もありますが、ここから”ラスト10”でチームを勝利に導く”救世主”は誰なのか。夏に加入した選手から、筆者の目線で期待の11人をピックアップしました。
なお、ここまで6試合6ゴールのFWラファエル・エリアス(京都サンガ)や中盤で獅子奮迅の働きが目立つ川辺駿(サンフレッチェ広島)、大﨑玲央(北海道コンサドーレ札幌)など、すでに新天地の中心的な存在になっている新戦力は対象外としました。また一部で移籍報道が出ているものの、浦和レッズから公式に加入がリリースされていないMF原口元気も今回は対象外とします。
GKは夏の移籍選手が多くないですが、上福元直人(湘南ベルマーレ)は前節の名古屋戦で湘南デビューを果たし、ダイナミックなスタイルを後ろから支える存在として期待がかかります。
最終ラインは右サイドバックが徳元悠平(名古屋グランパス)。新天地に躍動感をもたらせるか。東京でも見せていた、正確なビルドアップにも期待がかかります。センターバックのルーカス・オリヴェイラ(京都サンガ)はすでに天皇杯の大分戦で2−0勝利を支え、高い能力をのぞかせていますが、リーグ戦でチームの守備をさらに安定させることができるか。ボランチもこなせる選手だけに、幅広い攻撃参加も注目されます。
ジャン・クルード(横浜F・マリノス)は国際親善試合のニューカッスル戦で、驚異的なスピードを武器にスウェーデン代表FWイサクを封じる仕事ぶりを見せて、期待が高まりました。天皇杯の長崎戦でフル出場。ボランチ、サイドバックもプレー可能で、ACLエリートなど、Jリーグに限らず過密日程を戦うマリノスに大きな助けとなりそうです。
橋本健人(アルビレックス新潟)は良質なボール捌きとサッカーIQの高さが売りの攻撃的レフトバック。新天地にも堀米悠斗という経験豊富なライバルはいますが、ビルドアップからチャンスメイクまで違いを出しながら、課題だった守備面でも成長を見せることができれば、終盤戦でのスタメン定着も見えてきます。
ボランチはベルギーで一時代を築き古巣に戻ってきた森岡亮太(ヴィッセル神戸)を逆転優勝のキーマンとして選びました。京都の米本拓司、鹿島の三竿健斗など、経験豊富な即戦力の補強が目立つポジションで、まだ天皇杯にベンチ入りしたのみですが、持ち前の攻撃センスにプラス、欧州で身に付けてきた局面の勝負強さを神戸に注入できるのか。ACLエリートでの躍動にも期待したいところです。
二列目には久保藤次郎(サガン鳥栖)、渡邉りょう(ジュビロ磐田)、本間至恩(浦和レッズ)の3人を選びました。久保は主力の大量放出が不安視される鳥栖で、独力でも違いを作れるサイドアタッカーとして期待されますが、3ー1ー4ー2という新システムでは2トップにも挑戦。元々、得点能力は非凡であるだけに、覚醒的な活躍を見せれば、マルセロ・ヒアンの長期離脱で苦しくなった前線に希望をもたらすかもしれません。
渡邉はFWの選手ですが、磐田ではジャーメイン良やマテウス・ペイショットというFW陣に加わる形で、幅広く稼働しながら、攻撃陣に足りなかった活動量を注入しています。すでにアウェーの新潟戦で1アシストを記録していますが、未だ無得点。磐田のエースストライカーに君臨した中山雅史(現・沼津監督)に師事しており、残留争いにあるチームを救うゴールは誰よりも彼自身が欲しているでしょう。
本間は”欧州帰り”の一人ですが、ウイングのスペシャリストを重視するヘグモ前監督のリクエストに沿う形で、浦和が獲得したと考えられます。その意味で、昨年の浦和を率いたスコルジャ監督への交代は不利に働くと見られるかもしれませんが、実際は柔軟な思考の持ち主で、戦術的な要求に幅広く応えられる選手です。ウイングよりも、サイドハーフ的なタスクが増える中で、チーム戦術をこなしながら、インとアウトの両局面で卓越した”個の力”を発揮できれば、残りの試合で浦和を1つでも高みに引き上げる存在になりえます。
2トップはアマドゥ・バカヨコ(北海道コンサドーレ札幌)と田川亨介(鹿島アントラーズ)のコンビに。前者は最下位から巻き返しを図る札幌、後者は悲願のリーグ優勝を目指す鹿島という対照的なポジションですが、ゴールという目に見える結果が期待されるという意味では同じ。
バカヨコは規格外の身体能力を生かしたポストプレーやフィニッシュワークが特長。現時点では”雑味”が目立つ部分も多々ありますが、全てのプレーを全力でやろうとする直向きさは来日したばかりのオルンガを思い出させます。本当の意味で、爆発的な活躍を見せるのは来シーズンかもしれませんが、チームに前向きなエネルギーをもたらす選手であることは間違いないでしょう。
田川は爆発的なスピードが武器で、その片鱗は途中出場の2試合で見せていますが、より得点に直結する動きが求められます。攻撃の中心である鈴木優磨との特長の違いが表れており、効果的に使っていくイメージはしやすいでしょう。あとはきっかけになるゴールが生まれれば、ゴールラッシュがあってもおかしくありません。同じく新加入のMFターレス・ブレーネルとの共に、一巡目で対戦した相手に効果的な打撃を与えることができるか、期待しながら見守りたいところです。