【都知事選】小池知事は27の公約をいくつ実行したか〈中〉今回盛り込まなかった未実現の公約は
1400万の人口を擁する首都・東京のトップを決める都知事選挙(7月5日)が近づいている。現職の小池百合子氏が4年前に掲げた公約にどれだけ取り組んだかを徹底検証した企画の第2回は、「ダイバー・シティ」の9つの公約について取り上げる。(第1回「セーフ・シティ」編はこちら。インファクト都知事選検証チームの検証記事一覧)
また、それぞれの公約について、今回の選挙公約で再び取り上げているのかどうかも気になるところだ。特に、道半ばで、実現していないものについて、改めて実現を目指して公約化しているか、していないのか、を見ることで、小池氏の公約や政策に対する姿勢も浮き彫りにできるであろう。
(2016年都知事選の小池百合子氏の公約集より)
介護施設不足、満員電車、残業問題は改善せず
小池氏が「ダイバー・シティ」として掲げた公約は、「待機児童ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」など、いわゆる「7つのゼロ」を含めて9つ。インファクト(InFact)の都知事選検証チームが調査し、評定した結果は「優」1つ、「良」4つ、「可」4つ、「不可」はゼロだった(評定基準はこちら)。まず、公約に掲げた目標の実現に向けた政策は実施したものの不十分だったため「可」となったものについて見ていこう。
△「あらゆる都市遊休空間を利用し、保育施設、介護施設不足を解消。同時に、待遇改善により、保育人材、介護人材を確保する。都立高校跡地を韓国人学校に貸与する前知事の方針は白紙撤回。」→<可>
△「『残業ゼロ』などライフ・ワーク・バランスの実現を、都庁が先行実施する。」→<可>
△「満員電車をゼロへ。時差出勤、2階建通勤電車の導入促進。」→<可>
△「『ペット殺処分ゼロ』を実現。」→<可>
「保育施設不足」問題は、目標に向けて一定の前進があり、保育士の待遇改善も実行されていた。他方「介護施設不足」問題は、特別養護老人ホーム(特養)の入所待機者の減少幅が小池都政以前より大きく後退し、政策目標に届かない状態だった。韓国人学校への貸与を撤回した都立高校跡地も、保育施設・介護施設のために使われていなかった。
「残業ゼロの都庁先行実施」は、「20時完全退庁」を基本ルールとし「イクボク宣言」などの取り組みはしたものの、都庁職員の残業時間はむしろ増えていた。男性職員の育児休暇取得率が上昇したという改善面もあるが、他に悪化した指標が複数あった。
「満員電車ゼロへ」に関しては、「時差出勤Biz」などのキャンペーンをしたものの、東京圏の主要区間の混雑率は160%超で、ほとんど変化はなかった。2階建車両を導入するという動きも全くみられなかった。
「ペット殺処分ゼロ」に関しては、東京都や小池氏は「実現した」と発表している。だが、国(環境省)や他の県では「殺処分」とされている動物福祉等の観点から行う殺処分が東京都ではまだ相当数行われているのに、それを除いた「殺処分」がゼロになったと公表しているのはミスリードと言える。他県では、動物福祉等の観点から行う殺処分も含めて「ゼロ」を達成したところもあるからだ。
このうち、今回の選挙公約では、待機児童ゼロを目指して改めて取り組むことが明記された。他方、「介護施設・人材不足問題」「残業問題などワーク・ライフ・バランスの改善」「ペット殺処分ゼロ」といった1期目で残った課題については、今回の公約に盛り込まれていなかった。時差出勤の定着は目指すとされたが「満員電車解消」には触れていなかった。
都独自の給付型奨学金、待機児童減少、受動喫煙対策の公約は実行
次に、「優」または「良」と評定した5つについて紹介する。
◎「都独自の給付型奨学金を拡充し、英語教育を徹底する。」→ <優>
○「女性が健やかに希望を持って、生き、学び、働き、愛し、子供を産み、育む社会を実現する。」→ <良>
○「『待機児童ゼロ』を目標に保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制を見直す。保育ママ・保育オバ・子供食堂などを活用して地域の育児支援態勢を促進する。」→<良>
○「高齢者・障がい者の働く場所を創出。ソーシャルファームの推進。」→ <良>
○「健康寿命延伸のための予防医療、受動喫煙対策を推進し、地域の医療機関を支援する。」→ <良>
「都独自の給付型奨学金」関しては、公約通り、低所得家庭の都立・国公立高校生を対象に、英検の費用など「選択的教育活動」の経費を都が肩代わりする制度を導入していた。「英語教育」に関しても国に先駆けて一部地域で小学校英語教科を先行実施し、「英語村」も開設された。
「女性が健やかに希望を持って〜」という公約はかなり漠然としており「評定不能」もあり得たが、「女性活躍」と読み替えると、都管理職の女性割合の目標達成、幹部職員の登用など評価すべき点もあった。
「待機児童ゼロ」は未達成だったが、待機児童が大幅に減少したことは事実だ。ただ、「保育所の受け入れ年齢、広さ制限など」の規制緩和は実現しなかった。
「ソーシャルファームの推進」については、全国初のソーシャルファーム推進条例が制定されたことは評価される。だが、任期4年目に着手しており、任期中を通じて取り組んだとは言えない面がある。
「予防医療、受動喫煙対策」については、受動喫煙防止条例の施行など実行したと言えるが、健康寿命の延伸傾向は小池都政前と大きな変化はなかった。「地域医療機関の支援」については具体的な取り組みがはっきりしなかった。
このうち、今回の選挙公約では、英語習得環境の拡大、女性活躍、待機児童ゼロ、ソーシャルファーム普及、予防医療(フレイル予防)については改めて取り組むことが明記されている。受動喫煙対策は条例制定により実現したからであろう、特に新たな政策は盛り込まれていない。「地域の医療機関への支援」は新型コロナ対策の一環で盛り込まれたが、具体的な内容が定かでない。
次回は「スマート・シティ」10個の公約についての調査結果をお伝えする。(<下>に続く)