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新年早々、セックスを媒介にした新手のホラー映画がやって来る!

清藤秀人映画ライター/コメンテーター

口コミで異例の拡大公開へ!!

いよいよ始まったアワードシーズン。賞の行方が気になり始めるこの時期、それとは別に、怖い物好きたちが秘かに注目している新手のホラー映画がある。去年のカンヌ映画祭でお披露目されて以降、スイスのヌーシャテル・ファンタスティック映画祭を始め、ドーヴィル、トロント、釜山他、各国の映画祭で話題を集めた後、今年3月、本国アメリカで当初4館のみの限定公開からスタートし、その後口コミによって一気に評判が広まり、最終的に1655館まで拡大公開されたのが、噂のショッカー「イット・フォローズ」だ。

ネタバレを極力回避しつつ、どこが新手かを説明すると、まずはその媒介ツール。宇宙人による洗脳でもバイオでも死人の怨念でもなく、ここで恐怖を媒介するのは、ずばりセックス。物語の冒頭で19歳の少女、ジェイがボーイフレンドと初夜を過ごした直後から邪悪な"それ"に取り憑かれ、"それ"から逃れるためには他の誰かとセックスするしかない!?という、さながらチェーン・メール的理不尽な法則の下、呪いが伝播していく。

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"それ"はひたひたとやって来る。。。!?

さらに、新手な理由は、"それ"は生きた人間に姿を変え、何の前触れもなく、感染者の視覚内に現れること。"それ"は老若男女を問わず、あらゆる人間に形を変えて日常的な風景の一角としてやってくる。そして、最も新手なのは(ここが一番怖いのだが)、"それ"は近頃のゾンビやヴァンパイアのようにいきなり飛びかかってくるのではなく、人間の歩行速度を遵守しつつ、ひたひたと、確実に、接近してくる。例えるなら、"それ"は誰しも逃れられない死の恐怖そのもの。かつて様々な手段を用いてホラー映画が描いてきた恐怖の本質が、詰まるところ、死ぬこと、殺されることだったことに思い至らせる巧い演出だ。

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監督はインデペンデント映画賞の監督賞候補に。

監督は来年のアカデミー賞の前日に発表されるインデペンデント・スピリット・アワードの監督賞にノミネートされている40歳の新人、デヴィッド・ロバート・ミッチェル。ジョン・カーペンター監督作品を始め、多くの伝説的ホラームービーに影響を受けたという彼は、基本、感染者だけに見えているはずの"それ"が、時々、その場面にいる登場人物全員に見える普通の人間だったりするという、映画的視覚の盲点を突くアイディアも披露。果たして、観客の目に映る映像が、主人公の幻覚か?または実体か?という目眩まし的手法もさることながら、「パリ、テキサス」(84)や「ブルーベルベット」(86)に影響を受けたとうだけあって、舞台になるデトロイト郊外の風景を濃厚な色彩で映し出す映像技術にも目を見張るものがある。ミッチェルの指示の下、カメラを回した撮影監督のマイク・ギオウラキスはその手腕を買われ、現在、M・ナイト・シャマランの最新作「Split」(17年1月全米公開)を撮影中だ。

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映画の公開は来年1月8日。新年早々、新しい恐怖に震えたい人は、是非、劇場へ!!

『イット・フォローズ』2016年1月8日(金)TOHOシネマズ六本木ほか全国公開

配給:ポニーキャニオン

(c)2014 It Will Follow. Inc.

映画ライター/コメンテーター

アパレル業界から映画ライターに転身。1987年、オードリー・ヘプバーンにインタビューする機会に恵まれる。著書に「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社・刊)ほか。また、監修として「オードリー・ヘプバーンという生き方」「オードリー・ヘプバーン永遠の言葉120」(共に宝島社・刊)。映画.com、文春オンライン、CINEMORE、MOVIE WALKER PRESS、劇場用パンフレット等にレビューを執筆、Safari オンラインにファッション・コラムを執筆。

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