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テレワークの難敵はペットという声 猫さまに抗えないけれど思いがけない落とし穴も?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:アフロイメージマート)

私の動物病院は通常診察中ですが、世間では 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、テレワークを導入する会社が増えているとか。

一方、会社で仕事をしていると集中できるけれど、自宅にいると「猫が仕事の邪魔をしてくる」という、愛猫家としてはなんともうらやましい話題がSNS上に流れています。

猫が机の上にあるスマートフォンを前足で器用に移動させてフローリングに落としたり、パソコンのキーボードの上に乗ったりと可愛い行動をして飼い主と触れ合いを求めてきます。

犬の場合は、足に冷たい鼻を押しつけてオヤツをおねだりしたり、「散歩に行こうよ」といってきたりもします。なんとも可愛い誘惑ですね。彼らには抗えないですね。

特に猫は強情なところもありますから、ユーモアたっぷりに、「ニャンサムウェア」だなんて話題も、ネットで拡散されていました(「ランサムウェア」は身代金要求型ウイルスで、それから猫がPCのキーボードを占領するので「ニャンサムウェア」といわれています)。

テレワーク最大の課題『キーボード上で絶対に動かないと決めた猫さん』各地でニャンサムウェアが猛威を奮う「デスクボードも占領」

出典:https://togetter.com/li/1476965

愛すべき犬や猫と一緒に、在宅で仕事をできるのであればこんなすてきなシステムはないと思いますね。ところが、注意しないとペットたちが病気になる場合もあるのです。今日はそのことを解説します。

撮影筆者
撮影筆者

飼い主がテレワークでペットのために気をつけること

飼い主が家にいて、猫や犬にとってデメリットがあるの?と思われるかもしれませんが…特に猫には、気を配ってくださいね。

猫で気をつけること

・本来、単独生活の動物なので、ひとりでいることが好き。

・睡眠時間は12時間から16時間ぐらいと長いです。猫は「寝子」といわれることもあるぐらい睡眠時間は大切です。シニアになるとさらに睡眠時間が延びます。

・睡眠時間が少なくなると免疫力が落ちる。

・飼い主からオヤツをもらう回数が増えて肥満になりやすい。

・猫は狩りをする本能があるので、外の景色や鳥などを眺めているが、その時間が減る。

犬で気をつけること

・睡眠時間は12時間から14時間ぐらい。猫より短いといってもよく寝ます。シニアになるとさらに睡眠時間が延びます。

・猫と同様、睡眠時間が減ると免疫力が落ちて、病気になりやすくなります。

・飼い主からオヤツをもらう回数が増えて肥満になりやすい。猫よりこの影響が大きいです。

ペットがストレスを受けたときに症状

・ウンチが緩い、下痢をする。

・嘔吐する。

・食欲不振になる。

・自分で毛をむしったり、噛む。

・落ち着きがなくなる。

・睡眠時間が短かくなる。

・よく吠えるようになる。

このような症状が現れたら、かかりつけの獣医師と相談してくださいね。いまの時代、ペット用の安定剤、サプリメントまでありますから。

テレワーク時のペットとの接し方

ペットは、基本的にいつも留守番をしているので、飼い主がいると嬉しくて、「ねぇねぇ何をしているの?」という具合に様子を見てきます。そして隙をみては、「遊ぼうよ」と誘惑してきます。テンションが上がっています。

そのため、以下のことを意識してみましょう。

・犬の場合は、仕事を始めるまえに散歩を増やして体力を発散させておく。

・猫の場合は、散歩ではなく上下運動の遊びを増やす。

・集中するときは、彼らがやって来られない部屋に飼い主が閉じ込もる。

・飼い主が気分転換したいからといって、やたら彼らを触りにいかない。

・猫や犬の生活ペースを崩さない。

・猫や犬にとって質のよい睡眠ができるように気を配る。

・むやみにオヤツを与えない。

テレワーク時のペットにとってのメリット

もちろん、犬や猫にとって、飼い主の在宅時間が増えることによるメリットのほうが多いです。

・彼らの異変に早く気がつく。

トイレに行っているけれど、オシッコが出ていない。ウンチが緩い、暖かい部屋から寒い部屋に行くと咳をするとか。異変に気づいたら病院に連れて行きましょう。

・彼らとの絆が深まる。

・彼らと適切な接し方をすると、ストレスがなく元気になる。

・留守番ではないので、彼らに寂しい思いをさせない。

・彼らに合った温度管理ができる。

・彼らと触れ合う時間が増えるので、愛情は深まる。

まとめ

テレワークというシステムは、ペットにとって飼い主が家にいてよいことずくめに思いがちですが、彼らの側からすれば、そうでもないこともあるのです。猫にも犬にも生活のペースがあり、やはり質のよい睡眠時間を確保してあげることは大切です。いつもいない飼い主が在宅で、ハイテンションになっているペットたちもいます。その反動で病気を招くこともあるので、彼らの行動パターンも尊重してあげて、飼い主も猫も犬も健やかな生活になりますように。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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