Yahoo!ニュース

【NBA】オーガニックフードで身体作りするドラフト1巡指名ルーキー、ザック・コリンズ(ブレイザーズ)

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

ザック・コリンズ(ポートランド・トレイルブレイザーズ)

1997年11月19日生まれ、20歳

ネバダ州ノースカロライナ出身 ポジションはセンター、PF

 身長203センチ、体重104キロのビッグマン。昨季、ベンチスタートながらゴンザガ大のセンターとして平均10.0得点、5.9リバウンドを挙げ、NCAAトーナメント準優勝の立役者の1人となった。シーズン終了後にブレイザーズからドラフト1巡目全体10位で指名され、20歳でNBAの大舞台に立っている。1年目の序盤戦は19試合中6戦のみの出場で、平均5.3分で0.5得点、1.0リバウンド。パワー面でまだアジャスト中のため、本領発揮には至っていない。

 ゴンザガ大時代は八村塁のチームメートだったコリンズは、「”NBAに最も近い日本人”の現在地 八村塁、現役NBA選手が見た“未来予想図”とは?」という記事のために日本バスケットボール界の期待の星に関するコメントをくれた。ここではそのインタヴューの完全版をお届けしたい。

NBAに適応を進めている最中

ーーNBAでの1年目はどうですか?

ZC:楽しむことができているよ。このリーグ、チームについて多くを学んでこれた。ブレイザーズに関して素晴らしいのは、若手を助けようとしてくれる多くのベテランが属していること。おかげで助かっているし、だからこそ楽しいと思って日々を過ごせているのだと思う。

ーーカレッジとプロの違いはどこに感じますか? 

ZC:これは当然のことだけど、NBAの選手たちはカレッジ選手より大きくて、身体も強く、スピードもある。まず最初にその部分に慣れる必要があるんだ。それができたとき、再びこれまでのようにバスケットボールがプレーできるようになる。

ーー適応を進める中で難しさを感じたのは? 

ZC:まず生活面で、今では1人で暮らして、請求書などもすべて自分で支払わなければいけない。それは新しい体験だ。バスケットボールに関しては、カレッジ時代もハードに動いていたつもりだったけど、NBAの激しさは比較にもならない。その2つこそが最も大きな違いだと思う。 

ーー母校であるゴンザガ大の動向はチェックしていますか? 

ZC:今年も素晴らしいチームだね。昨日(11月24日)は少し夜更かしをして、(ブレイザーズの同僚)エバン・ターナーの母校であるオハイオ州立大学を圧倒するのを見たんだ。

(ここで通りかかったブレイザーズのテリー・ストッツHCが割り込んでくる)

TS:ゴンザガは昨日も勝ったのか?どこと対戦したんだ?

ZC:(誇らしげに)エバン・ターナーのオハイオ州立です。かなり差をつけて大勝したんですよ!

TS:それは凄いな(笑)

ーー無敗の強豪同士の対戦で強さを見せつけましたね。

ZC:ジョシュ・パーキンスが絶好調で、多くの3ポイントシュートを決めたのが助けになった。(八村)ルイも良いプレーをしていたね。見ていても楽しいチーム。今シーズンも間違いなく成功と言えるシーズンを過ごすだろう。

八村の身体能力、フィジカルの成熟度は驚異的

ーー昨季は八村塁と1シーズンに渡ってチームメートになりましたが、最も印象的だったのはどんな点でしょう?

ZC:ルイは僕がこれまで一緒にプレーした中で、最も身体能力に優れた選手だ。断トツだったと言って良い。身体が強く、ジャンプ力があり、リーチも長い。カレッジでのキャリアは短いかもしれないが、プロで長いキャリアを築いていくだろう。素晴らしいキャリアを過ごすと思うよ。言葉の壁が少しずつでも楽になっていけば、ゴンザガでももっと良いプレーができるはずだ。

ーー最大の長所はやはりパワーとバネでしょうか?

ZC:その通りだね。特にその若さを考えれば、身体の成熟度は驚異的だ。年齢的にもまだまだ強くなるだろう。フィジカルの面では極めて恵まれた選手だ。

ーー今のあなたがいるこの場所に八村が近づくために、何が必要でしょうか? 

ZC:僕はまだそれほど長い時間をプロで過ごしてきたわけではない。ベテラン選手たちの方がより的確にその質問に答えられるのだろう。僕もシーズンの終わり頃までにもっと良い答えができるようになるはずだ。ただ、現時点で1つ言えることは、NBAでやっていくには安定感が必要だということ。カレッジでももちろん安定したプレーは必要だけど、試合数はNBAの半分にも満たない。NBAではオールスターブレイクを迎えたところで、まだカレッジの1シーズンに価する30以上のゲームを残していることになるんだからね。

ーースケジュールは間違いなくより厳しいですね。 

ZC:1シーズンの試合数はかなり多い。特にゴンザガ大は試合が行われるペースは一定で、いつゲームがあるか、いつ練習できるかを理解し、身体を慣らしていくことができた。NBAでは練習時間が少なくなるので、それに対する適応も重要。より長く、厳しいシーズンで安定して力を出すことが僕にとって最大の課題だ。ルイにとってもそれは同じことになるだろう。 

ーー英語の上達もプレーの上達に繋がるということでしたが、去年を通じて進歩は感じましたか? 

ZC:彼は僕と同じ1年生だったわけだけど、周囲の選手たちに聞いても入学当初から比べるとかなり上達しているという話だった。僕の目から見ても1年間でかなり変わったと思う。いつもクラスに出て、勉強しているし、必死に学んでいるのは間違いないよ。 

ーーより強い身体を作るために、あなたはオーガニックフードを積極的に食べているという話を聴きました。

ZC:可能な限り多くのオーガニックフードを食べるようにしている。たくさん食べてボディを強くしたいけれど、一方で悪い食事は身体に入れたくない。健康な身体は間違いなく良いプレーに繋がる。チーム側がどうすべきかのツールを示してくれるから、最大限に利用しているんだ。

ーー八村選手も同じような健康食は必要でしょうか?

ZC:いや、ルイは何でも好きなものを食べて、それでも“ビースト(野獣)”と呼ばれるようなプレーができるはずだよ(笑)

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

杉浦大介の最近の記事