藤井聡太二冠、13日に順位戦B級1組初陣。強敵揃いの全12戦を徹底分析
本日(12日)、第80期名人戦・順位戦が開幕した。まずはB級2組1回戦が一斉に行われている。
そして13日、藤井聡太二冠(18)の所属するB級1組が開幕する。
藤井二冠の相手は三浦弘行九段(47)。前期はA級に所属し、2月に行われた第14回朝日杯将棋オープン戦では決勝を戦った相手だ。
初戦からいきなりの強敵だが、B級1組はタイトル経験者や勢いのある若手、そして実力のある中堅など強敵ばかりで楽な相手はいない。
藤井二冠のB級1組の全12戦について解説していく。
タイトル&A級経験者
1・2回戦は前期A級に所属した二人との対戦となる。
降級の憂き目にあった二人ではあるが、三浦九段は前述の通り2月の朝日杯将棋オープン戦で決勝に進出しているし、稲葉陽八段(32)も3月の第70回NHK杯将棋トーナメントでの優勝が記憶に新しい。
3~5回戦はタイトル経験者との対戦が続く。
4回戦で対戦する久保利明九段(45)には対戦成績で2勝3敗と負け越している。
5回戦で対戦する木村一基九段(47)とは昨夏の王位戦七番勝負の再戦だ。直近の対戦では敗戦を喫している。木村九段は前期星一つの差でA級昇級を逃しており、今期にかける思いは強いだろう。
第62期お~いお茶杯王位戦七番勝負と第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負が6~8月に行われる。そのため、藤井二冠は4回戦までかなりタイトなスケジュールで臨むことになる。
試練ともいえる序盤戦だ。
B級1組の昇級ラインは大体9勝(3敗)となる。藤井二冠は昇級直後で前期成績にもとづく順位が低いため、昇級を確実にするなら10勝(2敗)が求められる。
もし5回戦までに2敗を喫するとA級昇級へ暗雲漂いそうだ。
中盤戦
今期はオリンピックの開催予定期間は順位戦の対局が組まれていない。
そのため4回戦と5回戦が2ヶ月空く変則スケジュールとなっている。
5回戦以降は2つのタイトル戦が終了した後なので、他棋戦の結果次第ではあるが、そこまで過密日程にはならないであろう。
6~9回戦は後手番が3局あり、そこをどう戦うかがカギになる。
特に注目は9回戦の近藤誠也七段(24)戦だ。
藤井二冠が順位戦で唯一の黒星を喫した相手が近藤七段である。後手番でもあり、厳しい戦いが予想される。
B級1組は13名が所属しており、奇数のため一人1回抜け番が生じる。
藤井二冠は10回戦が抜け番となるため、年内の順位戦は9回戦の近藤七段戦で終了だ。
年内を2敗以内で終えられれば、昇級に向けて視界良好といえよう。
ただ、強敵揃いの中で7勝2敗の成績をとるのは並大抵のことではない。
なおB級1組では4勝(8敗)だと降級の可能性が高い。
もし年内に5敗以上を喫していると、年明けは残留をかけた戦いが待つ。
あの渡辺明名人(37)も、B級1組に初めて臨んだときは年内を4勝5敗で終えて残留争いに加わった(最終的には7勝5敗)。このリーグの厳しさを改めて感じさせられる。
ABEMAでの解説
年明け3戦では、20代でのA級昇級を目指す千田翔太七段(27)と佐々木勇気七段(26)との対戦に注目が集まりそうだ。
共に藤井二冠への対抗心は強く、もし昇級をかけた戦いとなれば全力で阻止しにくることは想像に難くない。
藤井二冠は現在、順位戦で21連勝中だ。順位戦連勝記録である森内俊之九段(50)の26連勝まであと5勝としている。
順位戦での連勝がどこまで伸びるか、森内九段の記録を更新できるか、その点にも注目が集まる。
藤井二冠の全12戦をご紹介した。順位戦が一年を通じた長い戦いであることを感じとっていただけただろうか。
B級1組は日付が変わってから決着する対局が多く、そういった点でも長い戦いになる。
皆さんも腰を据えて、一局、一年を追いかけていただきたい。
そして13日に迎える初戦の三浦九段戦は各メディアで中継される。
筆者はABEMA将棋チャンネルで解説を担当する。
第80期 順位戦 B級1組 藤井聡太王位・棋聖 対 三浦弘行九段
今回の解説では、藤井二冠の師匠である杉本昌隆八段(52)が登場する。どんな話が聞けるのか、筆者も楽しみだ。
12時間を超える対局となるであろう。お時間のある際にご覧いただきたい。