有名とんかつ店なのに8割の客が注文する〈名物のチャンポン〉開店前から行列ができる博多のソウルフード

ラーメンアンテナ｜福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺

7/12(金) 7:01

福岡県福岡市中央区平尾。閑静な住宅街の一角に、1973年（昭和48年）の創業というから今年51年目を迎える歴史ある老舗のとんかつ店〈味のかつえだ〉がある。ヒレかつ、特上ロースかつ、ミンチかつ、串かつ、とりかつといった人気の定食をはじめ、ヒレ焼、特上ロース焼、生姜焼のほか、ハンバーグや海老フライといった各定食類も豊富にあり、カツ丼や玉子丼といった人気メニューも揃っている昔から人気のある「とんかつの名店」だ。そんな中、とんかつと並ぶ看板メニューで、お客さんの注文率が8割という名物の「チャンポン」が不動の人気を誇っている。

お昼時ともなれば、馴染みのお客さんはもちろんのこと、遠方からわざわざ足を運びお目当ての一品を食べに訪れる人も多い。この日は、初めからお昼は「かつえだ」と決めていたにもかかわらず、自身の都合で13時頃の訪問になってしまった。当然店先の専用駐車場は満車で、目の前の大きな有料駐車場も同様に満車。ちょっと離れた少しお高めな有料駐車場に車を止めお店へ向かう。運良く行列はないものの店内には順番待ちの待機組が2組。3組目の待ちとなるも、タイミングよく5分ほどでテーブル席へ案内された。

メニュー表の中から（最初から決めていた）大好きな「かつえだのチャンポン」を注文し、待つことしばし。何気に外を眺めてみると13時過ぎにもかかわらず改めて外に並びの例ができはじめていた。

そんな時、ふと頻繁に訪れていた二十数年前の記憶が蘇る。当時勤めていた会社の営業車を飛ばし開店直前に訪問する。だけどすでに店先には今と変わらず行例ができていて、その最後列に大人しく並ぶ。開店と同時に店内へお客さんが整然と流れていきカウンター席の1席を無事に確保し着席。案内された順番にお店の方がオーダーをひと通り取っていき、すべてのとんかつ類とチャンポンの注文が出揃ったところで、お店の奥の部屋から（先代の）ご主人が颯爽と登場する・・・。そんなシーンを今も鮮明に覚えているくらい「かつえだのチャンポン」の特別感が、自分の脳裏に焼きついていて、この場所に来るたび（現在の建物は当時とは違っているけれど）当時の記憶がよみがえってくる。

あっさりながらも旨みたっぷりの豚骨スープ

そして待つこと10分少々。チャンポン待ちの先客の人数を考えてみると、待たされた感じはまったくないスピード感で配膳された一杯は、平らに近い大きな丼碗にボリューム感あふれる「チャンポン」を拝し登場。

野菜は、ニンジン・キャベツ・もやし・キクラゲ・玉ねぎなど多様な食感を楽しめる。海鮮類のイカ・ちくわ・かまぼこの他、豚肉も多めに入っていて具沢山。あっさりとしながらもそこから出る旨みや甘みもたっぷりと感じられる豚骨のスープ。

麺はモチモチとした食感でやわすぎない感じがとても心地良い。スープともしっかり馴染んでいて丁寧に仕上げられているのが分かる一杯。

とにかくスープの美味しさが以前よりもさらパワーアップしている印象もあり無我夢中で食べ進め、あっという間に完飲完食。あらためて一番大好きで、一番美味しいと思える「チャンポン」。ごちそうさまでした。

先代から継承した二代目ご兄弟の味

先代からご子息のご兄弟にその味が継承されてからすでに10年の歳月が経ち、今は先代の味からご兄弟の味へと昇華。お兄さんがとんかつを担当し、弟さんがチャンポンを担当している。現在のお店は10数年前に建て替えられ、カウンター席が10席ほどで、2人〜4人掛けのテーブル席も10席ほどのかなり広々とした空間。それでも開店前には店先の専用駐車場が満車になり行列もでき始める人気は昔も今も変わらない。

体感的には注文率8割以上のチャンポン

この日の体感としては、先客も後客の注文もお昼時というのあるかもしれないけど、見ている限りでは8割〜9割近くの人が「チャンポン」を注文していた。近くのテーブル席では、お二人でチャンポンを2杯注文し、さらに「ロースかつ定食」を一つ注文しシェアされていた。またその逆のパターンの方もいて定食2つと「チャンポン」1杯をシェアするなど『名物のチャンポンは食べたいけど看板メニューのとんかつも食べたい』という、そんな心理が働いた注文の仕方をされている方も多かった。