レアル・マドリーでモドリッチとクロースを「脅かす存在」F・バルベルデは新たな時代を築けるか
チャンピオンズリーグ開幕からグループステージの最初の2試合で未勝利が続き、クラブ史上初となるグループ敗退の危機が叫ばれたレアル・マドリーだが、調子を取り戻しつつある。
先に行われたリーガエスパニョーラ第13節では、エイバルに4-0と大勝した。エデン・アザールのコンディションが上がり、ロドリゴ・ゴエスという期待のホープが猛アピールしている。ガレス・ベイルの問題はくすぶっているものの、ジネディーヌ・ジダン監督は現在落ち着いて仕事に取り組んでいるはずだ。
■ベテランの域に達した選手たちの負担
そのジダン監督に、今季課題として突き付けられたのが中盤の人材不足である。ダニ・セバジョス(アーセナル)、マテオ・コバチッチ(チェルシー)、マルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)といった選手が去り、ジダン監督はこれまで以上にレギュラー格の3選手に頼らざるを得なくなった。
カセミロ(リーガエスパニョーラ12試合出場/出場時間1050分)、トニ・クロース(10試合/808分)、ルカ・モドリッチ(7試合/364分)...。チャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げた頃からの中心メンバーだとはいえ、ベテランの域に達している選手たちの負担は増すばかりだった。
ジダン監督の解決策となりそうなのがフェデ・バルベルデだ。F・バルベルデの存在により、カセミロ、クロース、モドリッチのタスクが分配され始めている。
直近の試合ではカセミロ、F・バルベルデ、モドリッチが「縦の関係」を築き、中盤にダイナミズムが生まれていた。モドリッチが高い位置を取れるようになり、彼本来の創造的なプレーが随所に見られた。また、カセミロが中盤の中央のゾーンをF・バルベルデに任せ、サイドバックの裏のスペースをカバーすることで、両サイドバックの積極的なオーバーラップが引き出された。
■ハードワーク
17歳でマドリーの下部組織に入団したF・バルベルデは、当時から将来を嘱望されていた。
『チュエコ』の愛称で親しまれるホセ・ペルドモ当時監督は、U-15ウルグアイ代表でF・バルベルデを指導した。チュエコ曰く、「バルベルデは攻撃が好きで、疲れるのが嫌いだった」そうだ。
「だから彼の耳を掴んで、言ったのさ。ワールドクラスの選手になりたければ、攻撃と守備の両方をやらなければいけない、と」
チャンピオンズリーグのデータでは、クロース(4試合出場/総走行距離43Km)、ダニ・カルバハル(4試合/39.9Km)、ラファエル・ヴァラン(4試合/39.5Km)、カセミロ(4試合/38.9Km)、カリム・ベンゼマ(4試合/37.1Km)となっている。マドリーの上位5名のうち、2名が中盤の選手だ。
現代フットボールにおいては、中盤の選手に走力が求められる。ただ、「バルベルデはボックス・トゥ・ボックスの選手だ」とジダン監督が評するように、ポテンシャルはある。
この夏、マドリーはポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)の獲得に失敗した。スペインメディアでは「バルベルデこそがジダンにとってのポグバ」だと称えられている。
カンテラーノであるF・バルベルデの活躍ーー。それは近年若手推進プロジェクトを掲げてきたフロレンティーノ・ペレス会長の思惑とも合致するものだ。