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添い寝は赤ちゃんに良くない?!快適な寝方の選択肢を専門家が解説

ねんねママ(和氣春花)乳幼児育児アドバイザー

みなさんはどんな風に赤ちゃんと寝ていますか?

添い寝している方、ベビーベッドに寝かせている方、別部屋に寝ている方などいろんな方がいらっしゃると思います。

そんな中でも、日本をはじめとするアジア圏で一般的なのが「添い寝」です。0〜36ヶ月の乳幼児を対象とした調査では、米英豪では添い寝の子どもは11.8%なのに対し、アジア圏では64.7%。そして日本はさらに割合が高く69.7%という結果が出ています。

※Mindell JA et al. : Cross-cultural differences in infant and toddler sleep. Sleep Med, 11(3):274-280,2010.

0〜36ヶ月の乳幼児をもつ保護者を対象に世界17カ国の地域で行われたWEB調査

また、睡眠時間のデータとしては乳幼児においても大人においてもアジア圏、特に日本は世界でも睡眠時間の短い国として知られています。

(大人:2018年OECD調べ、乳幼児:上記出典と同様)

では添い寝はいけないのでしょうか?添い寝をしていると睡眠時間が短くなってしまうのでしょうか?これらのデータを見ると全く関係ないとは言い切れませんが、必ずしも添い寝が原因とは言えません。

もっと具体的に言えば、添い寝そのものが原因ではなく、添い寝を習慣的にしていることによって

  • 自分で寝る力が身につきづらい
  • 親が一緒でないと寝る体勢に入らない(=親の就寝を待って就寝が遅くなる)
  • 一人で寝られないので昼寝も短くなる

といったようなことが起きていることが原因しているのではないでしょうか。

添い寝が好き!添い寝が幸せ!でしている方はそのままで良いと思います(安全性には配慮が必要ですが)。

ただ、親と添い寝をしている習慣そのものが、子どもの睡眠時間を短くしてしまっていたり、寝る力を身に付く機会を失わせてしまっていたりする可能性もあり、また、親自身が子どもの寝相などによって寝づらい思いをしている可能性も高いため、その解決方法・他の寝方の選択肢を持っておけることは非常に重要だと考えます。

今回はそんな添い寝について

  • 添い寝のメリットとデメリット
  • 添い寝に向いている人・向いていない人
  • 快適な添い寝のポイント

を、乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが解説します。

添い寝のメリットとデメリット

添い寝のメリット

  • 子どもが泣いたらすぐに対応できること
  • 授乳に起き上がる必要がないこと
  • ママやパパの存在を感じて安心して寝てくれること 

などが挙げられます。

一方デメリット

  • 第一に安全性に不安があること
  • ママやパパがいないと寝られなくなる癖のつく可能性が高いこと

が挙げられます。

安全性としては、ママやパパの掛け布団がかかってしまって鼻や口が塞がってしまう可能性があることが不安要素です。また、寝返りして下敷きにしてしまう可能性や大人のやわらかい敷布団に顔が埋まって呼吸ができなくなってしまう可能性も0ではありません。

癖という面では、寝かしつけに時間がかかったり、夜泣きをしたり、昼寝も一緒にいてあげないと寝られない可能性が高まる、ということが考えられます。

添い寝に向いている人・向いていない人

添い寝に向いている人は、子どもが横にいると幸せを感じられる人です。それから、子ども側も依存度が低く、夜は添い寝していても昼寝は一人で寝られるといったようなお子さんであればストレスなく添い寝生活ができるかと思います。

反対に向いていない人は、第一に子どもの寝相に苦しんでいる人が挙げられます。夜中に蹴られたりかかと落としの攻撃を受けたりしているママやパパは多くいらっしゃいます。

もしくは大人のパジャマの袖口をチュパチュパと吸わないと寝られないという癖だったり、これは私自身の経験ですが袖口から手を入れて二の腕を触っていないと寝られないなどといった癖があると、大人側はストレスに感じたり、せっかく寝ても寝た気がしないと感じることも間々あります。

そのような場合に、快適に添い寝するためのポイントをご紹介していきます。

快適な添い寝のポイント

①布団は分けること

安全のためにも1枚の布団で添い寝することは避けましょう。一緒の布団で寝ているとどうしても大人の掛け布団がかかってしまいがちです。大人が気をつけていても、寝相の悪い赤ちゃんが回転して大人の掛け布団に潜り込んでくることもあります。

窒息を避けるため、そして寝返りをうって下敷きにしてしまうといったことをさけるためにも、別々のお布団にして、大人は大人の布団、赤ちゃんはベビー布団と分けて、できれば少し間を離して距離をとるようにしましょう

距離をとることにより、真横で温度を感じる距離ではなくなるので、ママやパパががいない!といったセンサーで起きてしまうことを減らしていくためにも有効です。

大人用ベッドでの添い寝は転落リスクあるので避けましょう。大人用のベッドマットレスは子ども用のものよりもやわらかいことも多く、窒息も心配です。できればお布団で添い寝をするか、ベッドを別々にすることが望ましいです。

②並び順は子どもを端にする

これも安全対策のためです。添い寝はよく川の字に例えられますよね?「川」という字は真ん中が一番短くて子ども、両端パパとママ、というイメージかと思います。

しかし、おすすめはパパ→ママ→子供という順番です。両側に両親が寝ていると寝返りして潰されてしまうリスクも、掛け布団かかってしまうリスクも2倍になってしまうからです。加えて、ママが寝るときのもぞもぞする刺激、パパが寝るときのもぞもぞする刺激、というのも2倍になります。

蹴ったりパンチされたりというストレスはパパとママ両方うけることになるので二人とも疲弊してしまうこともデメリットもあります。この場合はどちらかが(お世話を考えるとママが隣になるケースが多いとは思いますが)隣を引き受けつつ、ときには位置を交代して安眠するというローテーションにするのもおすすめです。

それから、4人以上のご家族で上のお子さんがいる場合、下の子が小さいうちはお子さん同士を隣にしないことも大事です。上の子が蹴り飛ばした布団が顔にかかってしまったり、寝相が悪くて蹴られる可能性があるからです。

同じ部屋に寝るなら、パパ→上の子→ママ→下の子、といったようなフォーメーションがよいかもしれませんね。

③自分からは触らない

添い寝しているとついつい手が出やすくなってしまいます。手が出るというのは例えばトントンやなでなで、寝ている位置を調整するといったようなことです。

ハイハイやつかまり立ちのできる子だと、寝る前に布団の中をあちこち徘徊することも多くあります。ベビーベッドなら自分のベッドの中をハイハイしたりつかまり立ちしているだけなのですが、お布団で添い寝している場合は部屋の中をウロウロしたり、ママやパパと遊ぼうと近寄ってくることもあります。

そんな時、つい早く寝かせようとしてトントンをしたり、元の位置に戻そうと体を持ち上げたりして、子どもに触ってしまうのです。

しかし、この触る行為が子どもを眠りから遠ざけてる可能性があります。子ども自身は、眠いな〜と思いながらハイハイしてたりすることもあります。そのまま放っておけば自分の力で眠りに入ることができるかもしれないのに、親がトントンしたり、体を持ち上げたりすることによって刺激を受けて起きてしまうということになりかねません。刺激をしないためにも、こちらからは触らないことを心がけましょう。

④体調不良や飲酒時は添い寝を避ける

判断能力が鈍っている時の添い寝は危険です。正常な判断ができないときは、寝返りに関してもいつものようには気をつかえないことが考えられます。窒息のリスクも高まってしまうので、飲み会から帰ってきたら離れて寝るようにしましょう。

⑤イライラするなら境界線を設ける

境界線を設けることは実体験を持って非常におすすめです。もっとも王道な境界線の設け方はベビーベッドです。物理的に寝床を別々にする方法です。

しかしベビーベッドは家庭の間取りの事情や月齢的な問題で導入することが難しいこともあるかと思います。その場合にオススメなのが子どもの布団をベビーサークルで囲う方法です。

布団で添い寝のフォーメーションは維持しつつも、ベビーサークルによってエリアを分けてしまうのです。こうすることによって物理的な接触が減り、かかと落としなどの被害を0にすることができます。

最初にも記載しましたが、添い寝が幸せ・好きと思えるのであれば無理に変更する必要はありません。しかし、月齢や状況によって考えってどんどん変わるものです。最初はあまり動かなくて楽だった赤ちゃんも、そのうちママやパパの腕をサワサワするのが癖になってしまったり、成長したあんよで迫力のあるかかと落としをお見舞いしてくれたり、となってくると大人の睡眠の質にも関わります。

イラっ!やだな!そう思ったら境界線を設けることを検討してみてください。

乳幼児育児アドバイザー

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0-3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは18万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『〇✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある。

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